研究課題/領域番号 |
21K14346
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
小澤 晃平 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (90801879)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | ハイブリッドロケット / 燃焼計測 / 多素材3Dプリント / 旋回流 / 燃焼可視化 / 閉ループ制御 / リアルタイム燃料後退検知 |
研究開始時の研究の概要 |
現行の固体キックモータは大量の酸化アルミを放出し、微小デブリの原因となる。ハイブリッドロケットエンジン(HRE)は、微小デブリ放出が無く高い理論比推力を持つ。しかし、宇宙飛翔環境下では、固体燃料の燃料後退特性が変化することで混合比がずれ、余った片方の推進剤がデッドウエイトとなり、増速量が大幅に低下しうる。本研究では、燃料後退の観測機能を持つ3Dプリンタ製固体燃料と酸化剤の流量-旋回強度制御を組み合わせて先進的閉ループ制御システムを構築し、ボトルネックを解決する。並行して、3Dプリンタ製固体燃料の燃料後退量誤検知に繋がる不具合現象の発生機構解明を試み、燃料後退測定精度の向上に繋げる。
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研究実績の概要 |
前年度に実施したA-SOFTハイブリッドロケットの燃焼実験において、燃料後退の時間解像を示すセンサ電圧が、その他の実験データから期待される値とは大きく異なる時間履歴を燃焼中盤以降に示したため、本年度は主にその原因究明を試みた。 まず、センサ電圧の変化原因を生ずる可能性を個別要素に分類した。 大まかな要素分類は以下のようなものである(実際には、各要素を更に細かい要素やシナリオに分類している):(1)センサ電圧の伝達経路や計測システムに起因するもの(2)センサ構造である、梯子状抵抗構造そのものの特性変化によるもの(3)局所燃料後退時間履歴が現象通りの値を示した(センサ構造部位のみの固体燃料の脱落など、大きな燃料後退)。 本年度は原因となった要素を特定できるよう、アクチュエータの接続構成を様々に変更したドライランを複数回試行した。いくつかの試行では、燃焼実験時の最大1/10程度と小さな電圧変動を観察したが、燃焼実験時と同規模の電圧変動を再現することはできなかった。 一方、前年度までに取得した円筒形状エンジンの燃焼実験や可視化観察の結果データについては、本年度に前年度に引き続き詳細なデータ解析を実施し、それぞれAIAA AVIATIONにおける学会発表、火薬学会の英語論文誌での査読論文化を行うなど、成果をまとめた。 特に後者については、本年度実施した後解析による新しい知見を論文としてまとめることができた。具体的には、取得したハイスピードカメラ映像に対して、煤輻射光の影響が低いフレームのみから固体燃料表面を映すピクセルのみを用いて映像を再構成することにより、梯子抵抗構造が固体燃料表面を流動する様子を可視化することに成功した。前年度までに取得した実験データに加え、後処理映像から、燃料後退センサ構造の破壊プロセスを明確にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
円筒形状エンジンで発生した燃料後退センサ構造の不具合は研究構想時には想定外であり、その不具合解決に時間を割いているため、研究が遅延している。 加えて、本年度は研究代表者が在外研究で海外に長期滞在しており、日本での実地活動ができないことから、本年度及び次年度は研究補助者である、学位論文テーマとする大学院学生が本課題の実地作業を実施している。このため、研究代表者による現場作業や現場指導が実施できず、マンパワーが不足している。加えて、ロケットエンジンの燃焼実験など、現地で保安担当の教職員が同伴する必要のある実験を実施できない。結果として、研究進捗が遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は他の国内研究機関との共同研究という形態で、他機関での燃焼実験の実施を可能にする。これによって不具合の解明を進める。
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