研究課題/領域番号 |
21K14347
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
齊藤 允教 日本大学, 理工学部, 准教授 (20801020)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
|
キーワード | 冷炎ダイナミクス / 冷炎振動 / 複数液滴燃料 / 数値シミュレーション / 深層学習 / 低次元化解析 / 複数燃料液滴 / 微小重力実験 / 冷炎 / 液滴燃焼 / 低次元化 / 微小重力燃焼 |
研究開始時の研究の概要 |
次世代の航空・宇宙輸送に必要な軽量かつ高出力なエンジン開発に貢献する異常燃焼の予測を目指し,異常燃焼の発生に影響を与えていると考えられている冷炎と呼ばれる炎を対象として,いつ,どこで,どのように生じるかといった一連の挙動のモデル化を図る.実用燃焼器内部は様々な雰囲気温度や液滴間隔が空間的に分布し,それに伴い蒸発する燃料蒸気の量や化学種の濃度などが連動して変化するため,冷炎の挙動を予測することは一般的に困難だが,本研究では数値計算により得られる雰囲気温度や液滴間隔が異なるデータに対して深層学習を適用することで,冷炎の挙動を支配している主要な状態変数を特定し,冷炎の予測を容易にすることを目指す.
|
研究実績の概要 |
炭化水素系燃料,特に長鎖アルカンで生じる冷炎を対象とし,数値シミュレーション,落下塔・観測ロケットを用いた微小重力実験,および機械学習による低次元化手法により,冷炎ダイナミクスのモデル化を行う.2022年度までに,深層学習による分析手法の開発は先行してほぼ終了しているため,2023年度は,開発が完了している数値シミュレーションモデルの検定用基準データの取得,および新たに冷炎振動の力学モデルの構築を行った. 基準データの取得には,観測ロケットを使用した冷炎の自発点火限界近傍での実験と落下塔を使用した実験を実施した.観測ロケットを用いた実験では,雰囲気温度570 Kの基準データの取得に成功し,現在解析を進めている. 落下塔を使用した実験では,雰囲気温度を600 K以上に設定した実験を実施している.この温度は,数値シミュレーションにより冷炎の振動が確認された温度である.2023年度は,実験装置の開発が完了し,落下実験を開始した.一方で,落下時間内に冷炎が生じている様子がまだ観測出来ていないため,2024年度に雰囲気温度の再設定を実施し,基準データの取得を図る. 力学モデルの検討では,単純な数理モデルにより,単一および二液滴の燃料を想定した系での冷炎振動の挙動を計算で調査した.その結果,化学反応速度と反応によって生成した熱の輸送速度の比で定義されたダムケラー数,および化学種と熱の輸送速度の比で定義されたルイス数によって振動のパターン(振動無し,減衰振動,リミットサイクル,過減衰)が分類できることが明らかとなった.また,二液滴においては,液滴間の間隔によっても振動が変化する可能性が計算により示唆された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ロケット実験が遅延した影響により,全体の計画がやや遅れている.一方で,数値シミュレーションと深層学習による分析を先行して実施することで,研究期間全体での計画遅れを最小限にする工夫で対処している.また,落下塔によるデータ取得もコロナウイルスによる活動制限が影響して遅れているが,装置の開発が2023年度に完了したため,研究期間を通じた目標達成までの計画には大きな遅延は無いと考えている.
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度までに深層学習による分析を達成したため,次年度は主にロケット実験および落下塔で得られたデータの解析,数値シミュレーションとの比較による検定を実施していく.現在まで,数値シミュレーションの反応モデル検定に必要なデータが得られているものの,数値シミュレーションで確認されている冷炎振動が実験で観測出来ていない.数値シミュレーションにより,現在使用している反応モデルでは,冷炎振動はおよそ600 K前後で生じることが分かっているため,この温度域のデータを落下塔で重点的に取得していく.また,今年度単純な数理モデルの構築により新たに明らかとなった,ルイス数による振動挙動の違いも併せて調査を実施していく.ルイス数を変化させる手法としては,雰囲気のバランスガスの種類を変更することを計画している. また,次年度は学会発表や論文により成果の公表を順次実施していく.
|