研究課題
若手研究
地球観測や電波天文学に応用される受動的なマイクロ波センサ(放射計)の角分解能にはアンテナの口径という物理的な制約があり、大きな口径ほど高い角分解能が実現できる。本技術を宇宙機で運用する際には、一体型のアンテナでは実現しうる口径に機械的な限界があり、複数のアンテナを使用して開口合成する技術を用いればさらに大面積な口径が実現できる。ただし、剛な宇宙構造体では10m程度が現状の限度である。そこで、ソーラーセイルのような超軽量大面積膜構造体や、複数の衛星が編隊飛行するフォーメーションフライト技術を応用することでこの制約を打破し角分解能の飛躍的な向上に直結すると考え、この技術を実験的に実証する。
ソーラーセイルのような大面積・軽量宇宙構造体に薄型アレイアンテナを搭載し、数十m級の合成開口アンテナを現実的に宇宙空間で展開・運用する技術の成立性を示した。提案技術は3つの必須要素技術から構成される:(1)膜面搭載可能な薄型アンテナ技術、(2)アンテナ間の位相同期技術、(3)膜形状測定技術。それぞれ要素技術の成立性を試作・評価により確認し、提案技術全体の成立性を実験的に確認した。実用化に向け、構造体であるアルミ蒸着ポリイミド膜に直接アンテナを転写する技術とアンテナ配列を1次元化し収納効率を飛躍的に向上させる新方式も派生研究として研究を進めている。
受動・能動センサ、及び通信においてマイクロ波帯の設備は回折限界により角分解能・利得がアンテナ径に比例し制約される。この制約は物理的な要因に起源するため技術的改良では打破できず、アンテナの大型化によってのみ改善が可能である。本技術は静止軌道周回衛星に気象観測用放射計を初めて搭載する事を可能にするだけでなく、深宇宙探査、コンステレーション通信、月面電波天文台などアンテナの大面積化により機能向上が見込まれる多様な分野に応用が可能である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (54件) (うち国際学会 22件)
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