研究課題/領域番号 |
21K14354
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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研究機関 | 九州大学 (2022-2023) 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 (2021) |
研究代表者 |
高尾 勇輝 九州大学, 工学研究院, 助教 (70896654)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 大型宇宙構造物 / 膜展開構造 / 連続体 / 振動 / 波動 / 形状制御 / ハードウェア / 数値解析 / 膜構造 / 有限要素解析 / 薄膜構造物 / ソーラーセイル |
研究開始時の研究の概要 |
大型宇宙構造物の質量効率向上のためには,軽量かつ大面積な薄膜の活用が有効である.極めて柔軟な薄膜の形状を軌道上で管理するために,従来ではマストなどの支持構造物を用いて張力を印加し,変形を抑制する術が取られてきた.しかし100 mを超える超大型の膜構造では,張力や慣性力にマストが耐え切れず座屈してしまい,実現は難しい.そこで本研究は,薄膜の変形を許容する新たな形状管理方策として,波動制御によるアプローチを提案する.超大型膜が定在波を形成するまでの波動伝達特性に着目し,その力学構造を明らかする.さらに干渉波の形成による形状制御システムを開発し,実用化を目指したハードウェアレベルでの検討を行う.
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研究成果の概要 |
本研究は、宇宙空間で展開される超大型の薄膜構造物の変形ダイナミクスを波動工学の観点から解明し、様々な立体形状への能動的な変形を実現する形状制御システムを開発するものである。はじめに、数十から数百メートルの超大型宇宙薄膜構造物の宇宙空間における変形挙動を解析する物理シミュレータを開発し、外部入力によって励起された波動が振動モードを形成するまでの過程を明らかにした。続いて、インパルス応答解析により、膜面への任意の外部入力に対する過渡応答を解析的に記述する理論を構築した。最後に、これらの数値解析および理論を実装した形状制御機構を開発し、大型真空槽を用いた地上実証実験によってその有効性を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
連続体の変形は複雑な偏微分方程式で記述され、解析的に解くことは多くの場合困難である。本研究では、任意の時間履歴・空間分布を持つ外部入力に対する宇宙薄膜構造物の変形応答を解析的に解くことに成功した。従来では計算コストの大きな数値解法が求められる場面において、真の解を与える"Ground Truth"が得られたことの学術的意義は計り知れない。これを活用して開発した形状制御システムは、研究目的である宇宙薄膜構造物のみならず、条件次第では地上環境でも有効に機能することが確認された。つまり、アンテナやプロジェクタなどの地上用製品の立体化や動的変形の見通しも得られ、社会的意義も極めて高い成果が獲得された。
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