研究課題/領域番号 |
21K14370
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
中村 太信 東海大学, 情報理工学部, 講師 (50880720)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 多状態システム / 信頼性モデル / 組合せ最適化 / 最適配置問題 / 信頼度計算 / 最適設計 / 厳密解法 / アルゴリズム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,多様な状態を表現できる「多状態システム」に対する最適配置問題に取り組む.最適配置問題とは,システムが要求された機能を遂行する確率である信頼度を目的関数として,それを最大化するコンポーネント配置を探索する問題である.大規模な組合せ最適化問題を解く際,個々の問題が持つ数理的性質を最大限利用することで,計算効率の向上が期待できる.そこで,多状態システムの数理的性質を解明し,そこから得られる知見を用いて効率的な解法を構築することを目的とする.その解法により,多状態システムとして表現可能な現実システムの信頼度向上を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究課題では,多様な状態を表現できる「多状態システム」に対する最適配置問題に取り組んでいる.多状態システムとは,システムやその構成要素であるコンポーネントの状態を多段階で表現可能なシステムモデルである.劣化に注目した場合,新品状態,劣化により故障しやすい状態,故障状態となる.能力に注目した場合は,完全稼働,部分稼働,停止状態となる.多状態システムは,加熱乾燥システムや輸送システム,センサシステムなど多くの現実システムに適用可能であり,その汎用性と柔軟性が特徴である.最適配置問題とは,システムが要求された機能を遂行する確率である信頼度を目的関数として,それを最大化するコンポーネント配置を探索する問題である.多状態システムの最適配置を得ることで,多状態システムとして表現可能な現実システムの信頼度向上を目指している.
2023年度は,多状態システム(SWS)の数理的性質を用いて効率的な近似解法を構築することを目標とした.その際,遺伝的アルゴリズムやアントコロニー最適化などの汎用的なメタ戦略を単に適用するのではなく,これまでに導出した必要条件や数理的性質から導かれる経験則を組み込むことで,解探索空間を狭め,探索効率の向上を試みた.
加えて,本研究における「数理的性質を用いて効率的な解法を構築する」という方針は多状態システムだけでなく,ネットワークシステムの信頼性最適化にも適用可能である.そこで,重み付け局所探索法に次数中心性を用いた可変近傍降下法を組み込んだアルゴリズムを提案し,計算機実験によりその有効性を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では,多状態システム(SWS)の数理的性質を解明し,そこから得られる知見を用いて効率的な解法を構築することを目的としている.大規模な組合せ最適化問題を解く際には,個々の問題が持つ数理的性質を最大限に利用することで,計算効率の向上が期待できる.2023年度には,2022年度に導出した必要条件の解析的証明を行う予定であったが,その妥当性を確認するには至らなかった.一方で,当初の予定通り,メタヒューリスティクス(遺伝的アルゴリズムとアントコロニー最適化)に昨年度に導出した必要条件の候補を組み込んだアルゴリズムを構築した.計算機実験により,必要条件の候補がうまく機能する問題例の特徴を明らかにした. 加えて,ネットワークシステムの信頼性最適化問題に対しても成果が得られた.以上のことから,おおむね順調に進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,本研究課題の最終目標である,多状態システムに関する最適化問題に対し,数理的性質を用いた解法を構築することを目指す. 今後の具体的な研究推進方策としては,以下の手順を計画している.(1) 2022年度に導出した必要条件の解析的証明を行い,その妥当性を確認する.(2) 性能向上と適用可能な問題規模の拡大を図るため,これまでの研究で得られた知識と経験を活かし,厳密解法と近似解法を融合した解法を提案する.(3) 本研究課題の成果を学術論文としてまとめて,投稿する.
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