研究課題/領域番号 |
21K14374
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 金沢大学 (2022-2023) 一般財団法人電力中央研究所 (2021) |
研究代表者 |
松本 拓史 金沢大学, 融合科学系, 准教授 (60883163)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 電力市場 / エネルギー / ファイナンス / 予測 / 実証分析 / デリバティブ / 裁定取引 / フォワードプレミアム / 効率的フロンティア / スパース回帰 / 分散型電源 / シミュレーション / 実証 |
研究開始時の研究の概要 |
再生可能エネルギーや蓄電設備等の分散型電源の導入が進む近年,電力市場は大きく変容しつつあり,分散型電源がもたらす新たな市場リスクへの対応が重要な課題となっている.しかし,分散型電源による戦略的な市場取引が,電力市場にどのような影響を及ぼし,リスク管理や市場制度設計にどのような課題が生じるのかは,十分明らかになっていない.本研究では,この問題に取り組むため,分散型電源を用いた市場取引戦略を構築し,高時間粒度のヘッジ手法を開発するとともに,系統の安定化が自発的に促されるような最適な市場制度設計を導出するなど,理論・実証の両面から市場メカニズムの最適化に向けた洞察を導く.
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研究実績の概要 |
本年度は,当該テーマに関する研究について,主に以下の成果を得た. ①太陽光発電リスクのヘッジのために,複数エリアの日射量の主成分を原資産とする主成分デリバティブという新たなヘッジ商品を提案した.また,異なる地域に分散する発電事業者間で反対売買により互いにヘッジが可能となる効率的な市場スキームも併せて提案し,その有効性を実証した. ②電力市場における指値入札に基づく裁定取引戦略を定式化し,日本と英国の実データを用いて,提案手法が価格差予測に基づく従来型の裁定取引よりも高い取引利益をもたらすことを示した.また,指値入札の裁定取引は,市場間価格差を縮小させるだけではなく,市場価格のボラティリティを安定化させる効果があり,その対価としての追加的な裁定機会が存在することを論理的に示した. ③スイングクオントオプションと呼ばれる新たなデリバティブを導入し,その価格付け手法やヘッジ効果について多面的な検証を行った. ④Tayらにより開発されたpcLassoというモデルを活用して複数の気象変数と系統情報を同時に取り入れたモデルを構築し,その頑健性,解釈性,及び予測精度の高さを検証した. なお,今年度中に,①については,国際会議で招待講演を行い,投稿した論文がBest Paper Awardを受賞した.また,研究内容をさらに拡張させ,国際学術誌に投稿するためのドラフトを完成させた.②と③については,それぞれ海外及び国内の会議で発表し,投稿した論文が会議録に掲載された.④については,国際会議に論文を投稿したところである.その他,上記の研究に加えて,昨年度に実施した風力発電事業者向けの天候デリバティブの論文が国際会議のプロシーディングスや国際学術誌に掲載されるなどした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデル構築やデータ分析が滞りなく進み,研究成果を国際会議の場で発表したり,論文が国際学術誌に掲載されたりするなど,おおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
分散型電源のためのヘッジ手法の構築や市場設計における示唆の獲得について順調に研究成果を得ることができ,良好に進展しているといえる.今後も,手法や実証分析をさらに充実させつつ,国内外での発表を積極的に行い,研究内容を拡充させていく予定である.
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