研究課題/領域番号 |
21K14379
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分25020:安全工学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
KIM WOOKYUNG 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (40781852)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 粉塵爆発 / 粉じん爆発 / アルミニウム / 火炎伝播 |
研究開始時の研究の概要 |
粉塵爆発は火炎伝播を伴う現象であり、火炎伝播機構を明らかにすることは防災の点で重要である。しかし、粉塵爆発の燃焼機構の複雑さや燃焼実験の困難さなど様々な問題のために、粉塵爆発の基礎燃焼特性や火炎伝播機構は未だに解明されていない。本研究では、微小重力場を用いて粉塵爆発における火炎伝播メカニズム解明を目的としている。特に、粉塵濃度に対する火炎伝播速度の依存性を解明し、粒径、レイノルズ数、酸素濃度依存性を明らかにする。微小重力実験により粉塵爆発の火炎伝播機構の理解を深めることで粉塵爆発を精確に予測できるため、災害のリスク評価の高精度化に寄与できるものと期待される。
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研究実績の概要 |
微小重力実験の実施により、アルミニウム粉体の爆発下限濃度付近での実験が実施できた。その結果、微小重力場では粉体が沈降しづらくなり、通常重力実験における爆発下限濃度以下の濃度でも火炎が伝播することが確認され、粉塵爆発のリスクが高まることを示した。粉塵爆発下限濃度付近では粒子間の距離が大きくなるため、熱伝導の特性時間が長くなり、離散的な火炎伝播挙動になることが観察された。また、粒径が最小着火エネルギー(MIE)に及ぼす影響を調べた。アルミニウム粉体がマイクロサイズでは、反応律速となり、MIEが粒径の0.5乗に比例し、アルミニウム粉体がナノサイズでは、拡散律速になり、MIEが粒径の3乗に比例することがわかった。 さらに、アルミニウム粉体-酸素-二酸化炭素混合気の爆発下限濃度を、酸素濃度を変化させて実験的に求めた。酸素濃度が大きくなるにつれ爆発下限濃度は小さくなることが分かった。アルミニウム粉体-酸素-窒素混合気と比較すると、酸素濃度10vol%で二酸化炭素混合気の燃焼限界が窒素混合気の爆発下限濃度より非常に小さい値になった。アルミニウム粉体-酸素-窒素混合物の燃焼では、酸素濃度、当量比の変化で火炎温度が低くなりにくいため、反応速度が遅くならず、低い酸素濃度でも燃焼することがわかった。さらに、詳細反応機構を考慮した一次元数値計算による反応解析を行った。酸素濃度と当量比が小さくなるにつれ、断熱火炎温度が下がる傾向になった。しかし、アルミニウム粉体-酸素-二酸化炭素混合気の断熱火炎温度アルミニウム粉体-酸素-窒素混合気に比べて酸素濃度、当量比の変化で火炎温度が低くなりにくいことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
微小重力実験を実施し、アルミニウム粉体の爆発下限濃度付近での火炎伝播挙動が観察された。また、粒径がMIEに及ぼす影響を明らかにした。アルミニウム粉体-酸素-二酸化炭素混合気とアルミニウム粉体-酸素-窒素混合気の爆発下限濃度を調べ、窒素と二酸化炭素がアルミニウム粉体の燃焼に及ぼす影響を明らかにした。実際の粉塵爆発事故では流れ場が層流ではなく乱流場で起きているため、乱流場を形成できる燃焼容器を構築した。以上のことより、交付申請書に記載した研究の計画の達成度について、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
乱流場を形成できる燃焼容器を用いて、層流から乱流までの流れ場における火炎伝播挙動を明らかにする。特に、火炎伝播速度を定量的調べ、火炎伝播速度のRe数依存性を解明する。
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