研究課題/領域番号 |
21K14388
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 恵理 京都大学, 防災研究所, 特定助教 (70826726)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 1944年東南海地震 / 1923年関東地震 / サイト増幅特性 / 不均質震源モデル / 建物被害評価モデル / 推定建物残存率 / 建物倒壊率 / 海溝型巨大地震 / 短周期生成域 / 全波サイト特性 |
研究開始時の研究の概要 |
今後発生が危惧される首都圏および西南日本の海溝型巨大地震の被害軽減のためには、既往研究の蓄積を利用しつつ、より定量的評価が可能となるように被害予測スキームを高度化するとともに、その妥当性を過去の被災情報により検証することが必要不可欠である。 そのため本研究では、地盤増幅特性・建物被害評価モデルの高精度化を図り、2011年東北地方太平洋沖地震以降得られた震源破壊過程に関する知見を取り入れた震源モデルを用いて、過去の海溝型巨大地震の建物被害に直結する周期2秒以下の短周期強震動の生成過程を解明する。過去の地震の震源破壊過程を詳細に求めることで、将来のシナリオ地震の定量的強震動評価が可能となる。
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研究実績の概要 |
令和4年度は対象とする1923年関東地震、1944年東南海地震、1946年南海地震のうち、令和3年に引き続き主に1944年東南海地震に着目し研究を遂行した。また新たに1923年関東地震について、建物被害に関する資料を収集し、大被害地域において強震動計算地点を選定し、それらの地点での微動観測計画を作成した。 1944年東南海地震に関しては、令和3年度に採用した、Ito et al.(2021)に基づく深部・浅部統合地盤構造モデルによる修正理論サイト増幅特性では、大被害地域での計算倒壊率が観測倒壊率よりも過小評価になったことを鑑み、新たなサイト増幅特性計算手法を適用した。具体的には以下の手順に従った。まず、国土地理院発行の地形図から推定した当時の集落中心地点において令和3年度に観測した微動観測から、微動の水平上下スペクトル比MHVRを計算した。そうして得たMHVRとKawase et al. (2018) のEMR法により大被害地域の地点で擬似地震動水平上下スペクトル比pEHVRを求め、それにIto et al.(2020)のVACF法を適用することで各地点における擬似サイト増幅特性pHSAFを求めた。このサイト増幅特性を用いて建物被害評価モデルを用いて建物倒壊率を計算したところ、大被害地域においては依然過小評価傾向となった。 いずれのサイト増幅特性評価手法から得られる計算倒壊率が過小評価となったことから、その原因として非線形性評価手法に関して再検討する必要があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は1944年東南海地震の建物被害のより高精度な再現のため、再評価したサイト増幅特性を用いて建物被害の再現を行った。 研究自体は今後順調に進む見通しはついているものの、当初の計画よりやや遅れていると判断した。その理由については、上記の1944年東南海地震の研究と並行して、1923年関東地震に関して、関東平野南部全域での大被害域内の全市町村での微動観測を予定していたが、急遽決まった海外との共同研究プロジェクトを実施するために、代表者が令和4年度後半に5カ月海外滞在をすることとなり、計画通りに観測が実施できなくなったためである。 令和5年度には長期の海外滞在の予定もなく、微動観測については令和5年度初頭に遂行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
既に観測事実と概ね調和的な結果が得られている1944年東南海地震については、大被害地点での過小評価の改善のため、非線形評価手法の再検討を行う。 1923年関東地震、1946年南海地震については当時に対応する建物被害評価モデルを構築した上で1944年東南海地震と同様の手法で震源の破壊プロセスを推定する。 次年度後半にはこれらの結果をとりまとめ、論文を作成する。
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