研究課題/領域番号 |
21K14398
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26010:金属材料物性関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
松浦 慧介 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 特別研究員 (50824017)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | ヒステリシス / 準安定状態 / 磁気力顕微鏡 / 磁気光学カー効果 / 非平衡状態 / 相競合 / 強相関電子系 / 磁気ドメイン |
研究開始時の研究の概要 |
仮に、電荷が流体と同様に振舞うとすれば、ランダムに凍結したグラス状態や流れを保ち続ける状態が期待される。一般に、古典粒子系と量子系で同様の状態が観測されるかどうかは非自明である。最近、様々な物質において、急冷を用いることでランダムに凍結したグラス状態の存在が明らかになってきた。しかしながら、“流れ”という側面を利用した非平衡状態に関する研究はほぼ進んでいない。例えば、電流を試料に印加し続けた場合、物質の電子状態がどのように変化するかに関しては、いまだわかっていないことが多い。試料の微細化により、高電流密度領域まで、発熱を避けながら電流応答を調べる。
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研究成果の概要 |
研究当初は、電流などの定常的な流れの下での非平衡状態の探索自体を目的としていたが、本課題で対象としてきた過冷却準安定状態を示す物質をより深く理解する方向性で研究を進めた。特に、温度-外場相図上において、数10 K以下の低温領域で外場を掃引した際に現れるヒステリシス領域が拡大する起源を明らかにした。一次相転移の界面速度が温度と磁場の両方の関数として活性化した挙動を示す場合に、顕著なヒステリシスの拡大を示すことが分かった。また、ヒステリシス領域に埋もれた平衡相転移の決定に成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
強磁性や強誘電性といった物質の機能は、秩序変数の反転と結びついた一次相転移に付随する履歴現象(ヒステリシス)と密接に関係している。例えば、大きな抗磁場を有する磁性体は永久磁石や記録媒体として利用され、小さな抗磁場を有する磁性体は、モーターやトランス、電源などに利用されている。一次相転移には大なり小なりヒステリシス挙動が伴い、ヒステリシスを自在に制御することが実用上重要となる。しかし、その定量的な理解は難しく、磁場誘起一次相転移材料でしばしば観察される低温での顕著なヒステリシス幅の定性的な理解さえも不明であったが、本研究ではその定量的な理解を進展できた。
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