研究課題/領域番号 |
21K14399
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石井 暁大 東北大学, 工学研究科, 助教 (90898438)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ニトリドボレート / 共役π電子 / 窒化物 / 二次電池 / リチウムイオン電池 / 全固体電池 / 正極 / π電子系 / 共役系 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ガソリン車と競合できる電気自動車に必要なエネルギー密度500 Wh/kg以上の次世代全固体電池のための正極材料の開発を共役π電子系ニトリドボレートに注目して行う。密度汎関数理論に基づく第一原理計算を補助にしながら、窒素を含む化合物を自由度高く合成できる独自のイオンビーム支援パルス レーザー堆積装置で材料合成し、それを用いて全固体Li+二次電池を焼結せずにプレス成形のみで構築する。共役π電子の科学は、有機トランジスタ、有機EL、有機太陽電池など主に有機化学分野で結実してきたが、本研究では無機化学における共役π電子の機能性と理解の萌芽を目指す。
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研究実績の概要 |
前年度までに、相を制御したLi3BN2の合成や異価元素ドープまで実施済みであり、電気化学的試験が待たれていた状況だった。そこで今年度は、電解質にLiBH4を用いた全固体セルにて、ルチル型Li3BN2の電気化学的特性を評価した。 導電助剤としてネットワーク形成能の高いアセチレンブラックを用い、それを振動ミルを用いて微細かつ均一にLi3BN2に担持し、さらに、加圧セルのボルト締結力をトルクドライバーを用いて再現性良く適切に制御することで、充電電位は2.0 Vから1.7 Vに減少し、充電プラトーの容量は250 mAh・g-1から650 mAh・g-1に拡大し、かつ、瞬間的な電子リークと推察されるごく短時間電圧が0 V近傍まで低下する減少も認められなくなった。ただし、その場合でも放電カーブではプラトーが認められず、その容量は初回でも100 mAh・g-1を下回った。充電を1.9V以上まで継続すると、電位が急上昇しカーブも滑らかでなくなるため活物質が分解していることが示唆されるが、充電電位を1.9 V以下に制限した場合でも放電容量は50 mAh・g-1を下回った。この1.9V以下に制限した充放電試験後でもX線回折パターンや11Bマジック角回転NMRでは顕著な相分解は認められないことから、充電 (Li脱離) されたルチル型Li3BN2が放電 (Li挿入) しない原因は不明である。また、この結果は化学的にあらかじめLi欠損させたルチル型Li3-dBN2を用いた場合や、セル構築後から充放電試験を実施するまでの時効時間を変えても同様であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
相を制御した材料合成や異価元素ドープまで実施済みであり、電気化学的試験が待たれていた状況だったが、バンドギャップが3.2eVと広いため電子伝導性に劣るルチル型Li3BN2に対し、振動ミルを用いて微細かつ均一に導電助剤を担持し、さらにトルクドライバーを用いて再現性良く充放電試験が実施できたことから、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の結果を踏まえ、CCCVスキームによるルチル型Li3BN2の充放電特性評価や、ルチル型Li3BN2への異元素添加による電気化学的な相安定化を試みる。
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