研究課題/領域番号 |
21K14405
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
横井 達矢 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (70791581)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
|
キーワード | 粒界 / 第一原理計算 / 機械学習 / 熱力学 / 結晶粒界 / 原子間ポテンシャル / 自由エネルギー / セラミックス粒界 / 機械学習型原子間ポテンシャル / 圧縮センシング / 自由エネルギー計算 |
研究開始時の研究の概要 |
高温域におけるセラミックス粒界の熱力学的安定性に関する情報は、多結晶組織とその特性を制御する上で不可欠である。本研究では、第一原理計算と機械学習、情報科学的手法を統合して、高精度・高速で粒界の自由エネルギー計算が可能な「第一原理熱力学計算法」を確立する。この手法をセラミックス粒界に適用することで、全温度域を対象に、原子構造という根本から粒界構造と熱力学的安定性との関係を解明する。その知見をもとに「セラミックス粒界状態図」の構築を試みる。
|
研究成果の概要 |
本研究では、酸化物セラミックス粒界の熱力学的安定性を原子レベルで解明するため、第一原理計算と機械学習を統合し、高精度・高速で粒界構造および自由エネルギー計算が可能な第一原理粒界熱力学計算法の確立を試みた。まず、第一原理計算データを学習させた人工ニューラルネットワーク(ANN)原子間ポテンシャルを構築し、格子動力学法と分子動力学計算に組み込んだ。そして予測能力を検証するため、まずAlをモデル系として、格子振動モードや高温下でのエネルギーや原子にかかる力の予測能力を検証した。その結果、完全結晶だけでなく粒界原子の格子振動モードも、第一原理計算に近い精度で予測することが可能となった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
粒界の熱力学的安定性の微視的理解は、有限温度における多結晶材料の材料組織や巨視的特性を緻密制御する上で必須である。しかし理論解析では莫大な計算コストを要するため、系統的な知見は無く、有効な解析手法も確立されていなかった。本研究では第一原理計算と機械学習を組み合わせ、粒界特性を予測する機械学習型原子間ポテンシャルを構築し、その有用性を実証した。これにより、粒界の熱力学的安定性を高効率かつ高精度で予測する技術基盤が確立できた。今後、この手法を酸化物セラミックスを含む種々の材料に展開していくことで、粒界研究の発展に大きく貢献することが期待される。
|