研究課題/領域番号 |
21K14411
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
板坂 浩樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究員 (30816468)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | メタマテリアル / ナノ粒子 / コロイド溶液 / 自己組織集積 / プラズモニクス / 可視光 / ナノ結晶 |
研究開始時の研究の概要 |
メタマテリアルは微細な金属構造の周期配列からなる人工物質であり、負の屈折率に代表されるような自然界の物質には見られない特異な物性を有する。本研究では、金属と誘電体の2種類のナノキューブを自己組織集積により二次元規則配列させることで、完全ボトムアップ手法による可視光メタマテリアルの作製を試みる。溶媒蒸発を駆動力とする自己組織集積法により、サイズ・形状を制御した十数nmの金属及び誘電体ナノキューブの複合規則配列構造を作製し、可視光領域でメタマテリアルとして動作することを実験的に検証する。
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研究実績の概要 |
2022年度は金属-誘電体ナノキューブ複合規則配列体の配列構造の集積法の開発を目的として、リガンド交換によるナノ粒子の分散性の制御及び自己組織集積法を用いた複合集積構造の作製を行った。モデル材料としてチタン酸バリウムナノキューブと同程度の粒径(15~20 nm)を持つ市販のAg及びAuナノ粒子を用いて、リガンド交換による非極性溶媒への分散を試みた。エタノール中でのチオール化合物へのリガンド交換により、非極性溶媒であるメシチレンに良好な分散性を持つAg及びAuナノ粒子を得た。また、これら金属ナノ粒子のコロイド溶液を、同じくメシチレンに分散したチタン酸バリウムナノキューブのコロイド溶液と混合し、金属ナノ粒子と誘電体ナノキューブが安定した分散状態を保った混合コロイド分液を得ることに成功した。得られた混合分散液を用いて自己組織集積法により、三次元集積体と二次元集積体を作製した。電子顕微鏡観察の結果、いずれも集積体の形成は確認されたが、金属ナノ粒子と誘電体ナノキューブの均一な配列構造は見られず、それぞれが偏析していることが明らかになった。このことから目的の規則配列構造を得るためにはさらなるリガンドの検討、及び誘電体ナノキューブと同一形状の金属ナノキューブを用いた集積が必要であるという課題が抽出された。また、メタマテリアルの電磁場解析シミュレーションによる構造探索を行う過程で得た着想から、金属ナノ構造を用いた新たなセンシング技術を提案し、学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度に合成に成功した金属ナノキューブを用いた金属-誘電体複合集積を行う予定であったが、誘電体ナノキューブに比べて金属ナノキューブの1バッチあたりの合成量が極端に少なく、現状では集積に用いるために必要な量を確保することが難しいことから、代替品として市販の球状金属ナノ粒子を用いて集積条件の検討を行った。そのため、当初予定していた、リガンドの選択とコロイド溶液の濃度に加え、粒子形状の因子が加わったために集積プロセスにおいて考慮するパラメータが複雑化し、異種ナノ粒子が均一に混ざり合った集積構造を得るための条件検討が不十分となった。
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今後の研究の推進方策 |
異種ナノ粒子の規則配列構造を得るため、引き続きリガンド末端の官能基が集積状態に及ぼす影響を調査し、最適なリガンドの検討を進める。また、金属ナノキューブの合成量のスケールアップを図ることで、集積に十分な量を確保し、粒子の形状が集積状態に与える影響に関しても調査を行う。得られた複合集積構造に対する光学物性評価から、その集積構造内における異種ナノ粒子の分布状態や偏析の有無、配列の規則性が光学特性に与える影響を明らかにすることで、目的とする可視光域でのメタマテリアル特性の発現が可能であることを実証する。
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