研究課題/領域番号 |
21K14415
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26030:複合材料および界面関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
川越 吉晃 東北大学, 工学研究科, 助教 (00884199)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | CFRP / 量子化学計算 / 分子動力学法 / 有限要素法 / マルチスケールモデリング / 散逸粒子動力学法 / 熱硬化性樹脂 / マルチスケール |
研究開始時の研究の概要 |
CFRPは一般に母材となる熱硬化性樹脂を剛直な炭素繊維で強化することで高い比強度を生んでおり、その靭性・長期耐久性は母材樹脂に強く依存する。本研究では粗視化手法である散逸粒子動力学法(DPD)を用いて、熱硬化性樹脂の架橋反応をモデル化し、メゾケール架橋構造形成シミュレーションを行う。母材樹脂における架橋構造の不均一性のようなメゾスケール構造を再現し、有限要素法(FEM)によるマクロ解析へと接続することでより高精度なCFRPの物性・特性予測を可能とする。
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研究実績の概要 |
量子化学計算,分子動力学法,有限要素法を連携し,CFRPの成型時のそり変形を予測するマルチスケールモデリング手法を構築した.本手法ではGRRM(global reaction route mapping)によって熱硬化性樹脂の反応特性(活性化エネルギーと生成熱)を取得し,それを用いて内製pythonコードと汎用分子動力学シミューターLAMMPSを組み合わせた反応分子動力学シミュレーションを実施し,硬化樹脂モデルを作成した.得られた硬化樹脂モデルに対して,1軸引張シミュレーションによって樹脂剛性,昇温・冷却シミュレーションによって線膨張係数を取得し,反応前後の樹脂体積から硬化収縮率を取得する.これら樹脂物性と既知の繊維物性を用いて内製コードによる周期セル有限要素法を行い,複合材としての均質化された剛性,線膨張係数,硬化収縮ひずみを計算する.最後に得られた均質化複合材物性を積層板をモデル化したマクロ有限要素法に適用し,CFRP積層板のそり変形を予測した.比較検証のために,航空機グレードのCFRPプリプレグを用いた成形実験を行った.本研究ではクロスプライ・非対称積層を想定しており,成形実験では試験片サイズに応じた変形形状の遷移が見られ,小さい試験片では鞍型に,大きい試験片では円筒型に変形した.マルチスケールモデリングによって予測されたそり変形量および変形形状は検証実験とよく一致しており,マルチスケールモデリングの妥当性が確認された.このような原子・分子スケールから積層板スケールまでを連結した変形解析は類を見ない研究であり,多分野(高分子化学,構造力学,製造分野等)にまたがったCFRPの成形時変形問題を包括的に議論・理解できる手法である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題のベースとなるマルチスケールモデリングの構築が完了し,原子スケールから積層板スケールまでの包括的な解析が可能となった.
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今後の研究の推進方策 |
分子動力学法と有限要素法を連携した,樹脂破壊解析が進行中であり,これにより破壊解析が可能となる.さらに,前年度構築した散逸粒子動力学法を組み合わせることで,本課題の最終目標である母材樹脂のメゾスケール構造がCFRPの変形・破壊に与える影響を評価することが可能となる.
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