研究課題/領域番号 |
21K14418
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26030:複合材料および界面関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山下 享介 大阪大学, 接合科学研究所, 助教 (20829080)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 中Mn鋼 / 摩擦攪拌接合 / 中性子回折 / TRIP効果 / その場観察 / 残留オーステナイト / 不均一変形 / 相安定性 / 加工誘起マルテンサイト / 加工誘起変態 / 複合組織鋼 / マルテンサイト変態 |
研究開始時の研究の概要 |
中Mn鋼の機械的特性にはオーステナイト(γ)が変形中にマルテンサイト(α')となる加工誘起相変態が重要な役割を果たす。微細組織制御が可能な摩擦攪拌接合(FSW)によりγの安定性をも制御できれば、接合部においても加工誘起相変態の活用が期待できる。しかし、接合部に形成されたγの加工誘起相変態挙動は不明瞭である。本研究では、微細組織形態の異なる種々の中Mn鋼に対しFSWを施し、接合部の微細組織の形成機構、加工誘起相変態挙動と機械的特性に対する各構成相の役割、生成したα'のバリアント選択則と力学特性をそれぞれ明確化し、接合部における加工誘起相変態の活用を目指すとともにα'変態に対する理解も深める。
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研究成果の概要 |
本研究では、中Mn鋼に対して、フェライト(α)+オーステナイト(γ)二相域温度で摩擦攪拌接合(FSW)を実施した。接合部を引張変形中その場中性子回折試験に供し、接合部に形成されたγの相安定性と加工誘起相変態挙動、各構成相の機械的特性に対する役割を評価した。接合部の裏面側では多量のγが残存していたが、その相安定性は低く、引張強度に到達する前に全てマルテンサイト(α’)へと変態していたが、加工硬化能の増大には寄与していたと示唆された。加えて、変形前に存在していたα’や加工誘起α’とα間の応力分配が高い加工硬化をもたらしたと考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果は、不安定なγを有する鋼の変形挙動に関する重要な知見であり、より優れた鉄鋼材料を創生していく上での基礎的な知見として資することが期待される。また、中Mn鋼のFSW接合部の機械的特性をさらに改善するための指標として、より低温となる条件でFSWを実施する必要があること、FSWを前提とした合金設計をする上で相変態点温度を変化させることが有効であることを示唆する結果であり、学術的にも工業的にも大きな意義を有する。
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