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機械学習による有機無機複合ナノシート膜の表面濡れ性制御と高効率液体輸送技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K14420
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分26030:複合材料および界面関連
研究機関信州大学

研究代表者

都倉 勇貴  信州大学, 繊維学部, 研究員 (60881688)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワード濡れ性 / ナノシート / 層状化合物 / 有機無機複合物質 / 撥水 / 機械学習 / 層状物質
研究開始時の研究の概要

撥液コーティングは、防汚性の付与や接着性の制御が可能であるため多様な分野で注目されている。しかしこの設計にあたり、予測や制御が難しい表面エネルギーや表面粗さの要因を考慮する必要があるため、研究者の経験や膨大な実験が必要とされてきた。本研究は、層状遷移金属酸化物を剥離して得られるナノシートを用いた撥液膜を提案する。また、機械学習の活用によって、撥液性に関係する要因を抽出・最適化し、撥液性を緻密に制御可能なナノシート薄膜の効率的設計指針を確立する。さらにこの指針から、表面の撥液性を緻密に制御することで、高効率液体輸送コーティングへの応用を目指す。

研究実績の概要

様々な液体を滑落させる撥液コーティングは、防汚性や液体輸送などの観点から多様な分野で注目されているが、その設計には予測や制御が困難な表面エネルギーと表面構造の制御が必要であるため、研究者の経験や膨大な実験が必要とされている。本事業では有機修飾無機ナノシート薄膜を設計し、機械学習を活用することで、撥液ナノシート薄膜の形成を目的としている。
本年度は、長鎖アルキルアミンを修飾したチタン酸ナノシートコロイドを用いて、スピンコートによる薄膜を形成した。スピンコートの条件を検討した結果、回転数が小さいと水接触角が60度、水転落角が80度と水滴が滑落しにくい一方で、回転数を大きくすると水接触角が50度と若干減少するにもかかわらず、水転落角が60度と滑液性が向上する傾向にあることを明らかにした。また、表面張力が小さい有機溶媒液滴に対しても同様に、回転数を大きくすることで接触角が小さくなるにも関わらず、低い転落角で滑落することを見出した。修飾するアルキルアミンの鎖長を比較したところ、水滴や有機溶媒液滴の接触角・転落角に大きな変化がないことを明らかにした。
さらにホスト層をチタンからマンガンに変えて、長鎖アルキルアミンをインターカレーションした層状マンガン酸から、長鎖アルキルアミン修飾マンガン酸ナノシートの合成および薄膜形成を検討した。その結果、マンガン酸ナノシートを用いても、チタン酸と同様の接触角および転落角で、水滴や表面張力の小さい液滴を滑落させることを見出した。一般的に、液滴を滑落させるために、接触角が150度以上の超撥水・超撥油膜が用いられるが、本研究ではアルキルアミン修飾無機ナノシートを活用することによって、接触角が小さいにもかかわらず、液滴を滑落可能であることを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、長鎖アルキルアミンを修飾したチタン酸ナノシートを用いて、スピンコートによる薄膜形成の条件や、アルキルアミンの鎖長に関して、濡れ性指標のうち、静的な状態を表す接触角と動的な状態を表す転落角の評価・検討を行い、分析が終了している。また、ホスト層をチタンからマンガンに変えて、同様の評価・検討を行い、水滴や表面張力が小さい液滴を滑落可能な薄膜の形成に成功している。この結果から、ホスト層を変えても、長鎖アルキルアミンを修飾したナノシートを用いて薄膜化することで、接触角が小さいにも関わらず、水滴や有機溶媒液滴を滑落可能であることを見出した。これは本事業で目標としていた、様々な液体を滑落できる有機-無機ナノシート薄膜となっており、大きな進展である。現在、さらに他のゲスト分子・ホスト層の検討を行っている。以上より、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

今後は、これまで完了した検討に引き続き、アルキルアミン以外のゲスト分子や、ニオブ酸・タングステン酸といった他のホスト層を用いて、さらに低い転落角を有するナノシート薄膜の設計に取り組む。これらの結果を基に、ホスト層の物性値・ゲスト分子の物性値・滑落対象液滴の物性値・接触角などの要因から、機械学習と研究者の経験を活用することで、有機修飾ナノシート薄膜上における液体の滑落性に重要な因子を抽出し、液滴の滑落性を制御可能なモデルの構築を行う。さらに、これまで得られた知見を活用して、様々な有機修飾ナノシートを用いて基板表面に撥液性のパターニングを形成することで、液滴輸送薄膜の開発に取り組む。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Fluorine-Free Substrate-Independent Superhydrophobic Coatings by Nanoarchitectonics of Polydispersed 2D Materials2023

    • 著者名/発表者名
      Ryota Hikichi, Yuki Tokura, Yasuhiko Igarashi, Hiroaki Imai, Yuya Oaki
    • 雑誌名

      Bulletin of the Chemical Society of Japan

      巻: 96 号: 8 ページ: 766-774

    • DOI

      10.1246/bcsj.20230126

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 構造を最適化した表面修飾ナノシートによるフッ素フリー超撥水膜の作製2022

    • 著者名/発表者名
      引地亮太, 都倉勇貴, 今井宏明, 緒明佑哉
    • 学会等名
      高分子学会 第71回高分子討論会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 表面修飾ナノシートの特徴を活用したフッ素フリー高撥水膜の作製2022

    • 著者名/発表者名
      引地亮太, 都倉勇貴, 今井宏明, 緒明佑哉
    • 学会等名
      日本化学会 第12回CSJ化学フェスタ2022
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 表面修飾ナノシートを利用した高撥水表面の作製2021

    • 著者名/発表者名
      引地亮太, 都倉勇貴, 今井宏明, 緒明佑哉
    • 学会等名
      日本化学会 第11回CSJ化学フェスタ2021
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 表面修飾ナノシートを活用したフッ素フリー高撥水表面の作製2021

    • 著者名/発表者名
      引地亮太, 都倉勇貴, 今井宏明, 緒明佑哉
    • 学会等名
      高分子学会関東支部 第5回神奈川地区講演会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] Water-repellent surfaces based on exfoliated transition-metal-oxide nanosheets2021

    • 著者名/発表者名
      Ryota Hikichi, Yuki Tokura, Hiroaki Imai, Yuya Oaki
    • 学会等名
      The International Chemical Congress of Pacific Basin Societies 2021 (Pacifichem 2021)
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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