研究課題/領域番号 |
21K14427
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
郭 光植 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (90847170)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | Ti-6Al-4V合金 / バスケットウィーブ / マイクロ引張試験 / 塑性異方性 / 結晶塑性解析 / トランススケール力学特性評価 |
研究開始時の研究の概要 |
積層造形により造られたTi-6Al-4V合金の形状と材質パラメータが同時に制御できれば,航空宇宙ならびに医療機器産業における多様なニーズに対応でき,持続可能な社会の実現に大きく貢献できる.Ti-6Al-4V積層造形材では,HCP構造が持つ異方的性質に加え,造形中に発達する階層的な微視組織形態が重畳して現れることが変形機構の理解を妨げてきた.本研究では,マイクロ引張試験と結晶塑性有限要素解析の融合研究により,Ti-6Al-4V積層造形材の力学特性と変形機構についてトランススケール的に解明を行うとともに,その結果に基づいて,高強度合金設計の指導原理を検討する.
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研究実績の概要 |
積層造形により造られたTi-6Al-4V合金の形状と材質パラメータが同時に制御できれば,航空宇宙ならびに医療機器産業における多様なニーズに対応でき,持続可能な社会の実現に大きく貢献できる.Ti-6Al-4V積層造形材では,HCP構造が持つ異方的性質に加え,造形中に発達する階層的な微視組織形態が重畳して現れることが変形機構の理解を妨げてきた.これまでに材料の微小領域から切り出した微小試験片に対してマイクロ引張試験を実施し,さらに,実験結果に基づく結晶塑性有限要素解析を融合させた研究により,微視組織の力学特性と変形機構の解明を行ってきた.この手法を用いてTi-6Al-4V積層造形体バスケットウィーブ組織の力学特性をトランススケール的に評価する。 2023年度においては、マイクロ引張試験から得られた応力ーひずみ応答が再現できる数値解析手法において、さらにその精度を向上させるために降伏後の加工硬化挙動が定量的に記述可能なパラメータ探査に挑戦したが、組織の複雑さのゆえに現時点での数値解析手法では実験で得られている塑性挙動を大まかには表現可能なものの、加工硬化挙動を定量的に記述するまでは至っていない。ワイヤーアーク式積層造形技術により製造されたバスケットウィーブ組織は隣接する3つのα相が互いに入り組んでおり(クラスター)、さらにその組織は1つの<a>を共有するような独特な結晶方位関係を持っているが、本数値解析で用いる解析モデルでは試験片の厚さ方向への3次元的な組織情報が得られないため、比較的シンプルな構造のモデルを採用している。すべり変形におけるα相間の相互作用も加工硬化に寄与するため、加工硬化に及ぼす複雑な組織構造の影響について実験結果の再解析や追加実験を計画するなどして検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験で得られた応力ーひずみ応答が再現できる数値解析手法を構築したが、加工硬化領域におけるパラメータ同定がやや遅れている。また、当研究を担当していた学生が病気により進路を変更したため、研究代表者が数値解析を引き続き行っている状況である。実験結果の再解析や必要に応じては再試験を行うなどして加工硬化領域のパラメータを同定するとともに、数値解析の制度向上を検討していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は数値解析手法の制度を向上させるとともに、複数クラスターを含むようなバルク試験片を作製し、引張特性に及ぼす組織因子の影響についてミクロからマクロまでのトランススケールで検討する。
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