研究課題/領域番号 |
21K14436
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
増田 高大 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (60838639)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 巨大ひずみ加工 / 過飽和固溶 / 時効析出 / アルミニウム合金 / マルテンサイト変態 |
研究開始時の研究の概要 |
アルミニウムは、その高い比強度・導電率から電線材料としても注目されており、実用化のためには高導電率を保持したままの高強度化が望まれる。本研究では、Al基のAl-Ca 2元系合金に巨大ひずみ加工技術を利用してカルシウムを過飽和に固溶させ、続く時効処理でカルシウム含有粒子を微細析出させた後、マルテンサイト変態で析出粒子の構造を制御して高強度・高導電性を有するアルミニウム合金の開発を目的とする。特に、導電率や微細組織をその場観察法により動的解析し、Al4Ca相の結晶構造や析出状態と導電率の相関を精度良く明らかにする。また電線材料としての実用的観点からも研究を進め、細線加工を施し疲労特性評価を行う。
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研究実績の概要 |
アルミニウム(Al)は軽量かつ導電性に優れ、カルシウム(Ca)添加によりさらなる軽量化を図ることができる。大気圧下ではAl中のCaの最大固溶量はわずか0.002%しかないが、本研究では、高圧ねじり(HPT)加工法による巨大ひずみ導入によりCa固溶量を増大させ、これに伴う新たな時効特性を付与させることを目的とする。 Ca添加量は亜共晶の1%, 3% および共晶組成の7.6%とし、Al-Ca合金を作製した。鋳造材から直径10 mmの円盤状試料を切出し、加工圧力6 GPaで高圧ねじり(HPT)加工を最大100回転施した。HPT加工後の最大硬さは、199HV(1%Ca), 272HV(3%Ca)および228HV(7.6%)となり、3%Ca添加で最大硬さが得られることがわかった。 SEM観察およびXRD分析結果より、HPT加工量の増加とともに第二相粒子であるAl4Ca相の体積割合が減少し、Caが母相中に強制固溶することが示唆された。XRD分析により固溶量を概算したところ、3%Ca材では、100回転後に最大2.6%固溶することが示唆された。TEM観察の結果、3%Ca材では、10回転後は結晶粒径350 nmで粒内に10 nm程度に微細化されたAl4Ca相が分散している組織となっていたが、100回転後は結晶粒径が15 nmまで超微細され、かつTEM観察からもAl4Ca相の存在は確認されなかった。HPT加工100回転後に130℃で時効することで、38HV(1%Ca)および12HV(3%Ca)の時効硬化を示し、新たに時効硬化特性を付与することができた。
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