研究課題/領域番号 |
21K14440
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
田中 一平 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (40781034)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | プラズマ / CVD / 窒化炭素 / 高硬度 / マイクロ波 |
研究開始時の研究の概要 |
ダイヤモンドを超える超高硬度窒化炭素の創成を実現するためには、炭素-窒素間の化学結合状態の決定因子の解明・超硬質窒化炭素の生成反応場の確立が重要と考えられる。本研究では高硬度窒化炭素膜を実現するために高密度プラズマ反応場を利用した膜形成に寄与するイオン・ラジカルの制御を行い、高密度プラズマからの高窒素含有窒化炭素膜の形成過程におけるイオンの役割の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
CNラジカル・N2+イオンが共存する高密度反応場を用いて窒素濃度50%以上の高窒素含有な窒化炭素膜形成のため、炭化水素ガス-N2ガスのガスを用いて原料ガスおよびマイクロ波パルスのDuty比を変化させることで高窒素化を行った。原料ガスを変化させることで昨年度では窒素量は5.6at.%と目標から著しく低い値であったが、原料ガスをメタンからアセチレンに変更することで窒素量は27at.%まで増加させることができた。しかし、1GPa未満であり低硬度となった。一方、Siを添加して作製した場合には窒素量は15at.%程度であったものの、30GPaと高硬度な膜を得ることが可能であった。また、高硬度な化学結合成分量が安定になる500℃以上での基板温度で成膜を行うため、マイクロ波のDuty比を変化させ成膜を行った。成膜時の温度が300℃以上ではメタンでは薄膜形成が確認されず、原料にメタンを用いた場合には高温での成膜が困難であることが明らかになった。一方、Siを添加した場合には900℃程度の基板温度でも成膜可能であり、高温化が硬度に寄与することもわかった。また、プラズマ中のCNラジカルとN2+イオンの割合をマイクロ波パルスDuty比により制御し、これらの膜との関係についても検討した。CNラジカルとN2+イオンの割合と窒素量は同一の原料ガスでは相関が確認されたが、メタンおよびアセチレンでは同等の割合にもかかわらず、窒素量に大きな差が確認された。このことから、膜中の窒素濃度には非発光種の影響が寄与していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CNラジカル・N2+イオンが共存する高密度反応場を用いて窒素濃度50%以上の高窒素含有な窒化炭素膜形成のため、高硬度な化学結合成分量が安定になる500℃以上での基板温度で成膜を行い高窒素化を行った。現状では窒素量は27at.%と目標とする窒素量の50%程度であるが、窒素濃度50%以上の窒素量を持つ窒化炭素の生成は非常に困難なため、他の研究と同等の窒素量まで作製できている。さらに、Siを添加した場合に硬度が30GPaと高硬度な膜が得られていることから、このような膜を元に本研究の目的とする長寿命かつ低損失な摺動表面を実現する超硬質かつ超低摩擦な窒化炭素膜の創成のための高窒素含有窒化炭素膜の形成 過程におけるイオンの役割を明らかにする標準試料が得られている。以上より、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
原料ガスにアセチレンを用いた場合に窒素量が増加したため、さらに高次の炭化水素ガスを用いて成膜することで高窒素化を達成し、成膜中のイオン量を変化させることで化学結合とイオンの効果の影響を明らかにする。
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