研究課題/領域番号 |
21K14445
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26060:金属生産および資源生産関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
禹 華芳 東北大学, 工学研究科, 特任助教 (90880477)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | イオン交換膜 / リン回収 / 製鋼スラグ / リン酸イオン / シリカコロイド / リン酸回収 / リン酸 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究が目指すリン回収プロセスは化学的湿式法とは全く異なる原理によるもので、製鋼スラグから抽出したリン含有溶液に、第1段階として「イオン交換膜電析法」により含まれるFe2+、Ca2+、Al3+、Mg2+等の陽イオン群とPO43-、SiO44-等の陰イオン群を分離し、第2段階として「陰イオン交換樹脂の選択性」を利用し、分離した陰イオン群からPO43-を粗リン酸として回収するプロセスである。本プロセスは化学湿式法において数多くの工程で必要となる大量の中和用のアルカリ薬品やその廃液処理工程が不要で、省資源、低環境負荷で効率的なリン酸回収が可能である。
|
研究成果の概要 |
リンは農業、工業に必要不可欠な元素であるが、我が国ではリン鉱石全量を輸入しており、その供給にリスクを抱えている。このリン供給危機に対応するため輸入リン分の総量に匹敵するリンを含む製鋼スラグからイオン交換膜を利用してリンを回収するプロセスの開発を行った。プロセスの概要は(1)スラグ抽出溶液にFeCl3水溶液を添加してFePO4を沈殿させ、(2)そのFePO4にNaOH水溶液を添加してPO43-を溶融分離、FeはFe(OH)3として沈殿分離させる。(3)残留液中のPO43-アニオンとNa+カチオンをバイポーラ膜電気透析法によって分離してH3PO4溶液を得、その回収率は88%であった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Siイオンが所定濃度になるとアモルファスシリカコロイドを形成し、リン陰イオンの交換膜透過を阻害することを明らかにした。2次リン資源の下水汚泥や製鋼スラグはシリカを含むため、リン回収にはSiイオンのコロイド化を制御することが重要となる。しかし、シリカのコロイド化は平衡論的には決まらず、速度論的に決まるため、不明な点が多く今後Siイオンのコロイド化の研究を進める必要がある。 本研究で示したように、Si濃度を制御すれば、バイポーラ交換膜を用いて少ない工程で製鋼スラグからリンを効率的に回収することが可能となるため、今後直面するリンの供給危機に対応することができ、農業、工業界にとって大きな貢献となる。
|