研究課題/領域番号 |
21K14460
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分27030:触媒プロセスおよび資源化学プロセス関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
谷田部 孝文 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (60875532)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | ナノ粒子 / 酸化物クラスター / C-H結合活性化 / 協奏的触媒作用 / DFT計算 / 酸化的脱水素 / 吸着制御 / 脱カルボニル / 脱水素芳香環形成 / アクセプターレス脱水素 / 酸化的付加 / 複合触媒 / C-H結合官能基化 |
研究開始時の研究の概要 |
触媒的C-H結合官能基化反応は、環境調和性を有し、自在な有機分子変換のための次世代有機合成手法として注目されている。本研究では、従来の錯体分子触媒とは大きく異なる新しい触媒能を発現することが期待される画期的な触媒系として、ナノ粒子-酸化物クラスター複合触媒に着目し、新規C-H結合官能基化の開発を行う。多点吸着や協奏的電子移動が可能なナノ粒子触媒上に特異なC-H結合活性化やプロトン共役多電子移動を可能にする酸化物クラスターを複合化させた、無機ナノ材料特有の触媒システムを利用し、新しい選択性を示す高効率C-H結合官能基化を実現する。
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研究成果の概要 |
担持パラジウムナノ酸化物-on-金ナノ粒子触媒が、飽和ケトンのC-H結合活性化に対し均一系触媒よりもはるかに高い活性を示すことを見出し、詳細なキャラクタリゼーションと量子化学計算を組み合わせることで、その界面で構築される特有のルイス酸-ブレステッド塩基ペアによる協奏的な活性化が鍵であることを明らかにした。また、担持水酸化マグネシウム-on-パラジウムナノ粒子触媒の協奏的触媒作用と吸着制御を利用し、熱触媒では未踏の単純脱水素芳香環形成を経るアンモニアを窒素源とした第一級アニリン選択合成を達成した。さらに、酸化物とナノ粒子の相互作用を応用し、アルデヒド・ジケトン等の脱カルボニル反応にも成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、ナノ酸化物-酸化物クラスター複合触媒を設計し、他の触媒系では実現できない特有の活性点構造を構築し、協奏的触媒作用や吸着制御を利用した高効率なC-H結合活性化や選択的脱水素反応を達成した。詳細な実験的キャラクタリゼーションやDFT計算からその活性点構造や反応機構を明らかにしており、ナノ酸化物-酸化物クラスター複合触媒が新たなC-H結合活性化を可能にすることを実証できたため、学術的意義は大きい。また、空気中の酸素を酸化剤としたり、酸化剤を用いずに水素も同時に製造するような環境調和的な反応系で、入手容易かつ安価な基質から多数の有用化合物を合成することに成功しており、社会的意義も大きい。
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