研究課題/領域番号 |
21K14469
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分27040:バイオ機能応用およびバイオプロセス工学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
金子 真大 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (60881191)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | リン脂質ポリマー / 磁性ナノ粒子 / 表面開始重合 / 原子移動ラジカル重合 / 温熱療法 / ドラッグデリバリーシステム / 表面修飾 / がん治療 / マグネタイト / リビングラジカル重合 |
研究開始時の研究の概要 |
磁性ナノ粒子は、MRIにおける造影剤や磁気温熱療法、磁気によるドラッグデリバリーシステムなど、医療分野での活躍が期待されている。しかし、血中安定性や目的部位へのターゲティング能などの機能性の不足から、その実利用は限られている。本研究では、高い生体適合性を有するリン脂質ポリマーを応用し、表面構造が精密制御されたポリマー被覆型磁性ナノ粒子を合成する。磁性ナノ粒子の表面構造と機能の関係の解明と、その関係理解に基づく高機能性磁性ナノ粒子の創製を目指す。
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研究実績の概要 |
前年度までに、犠牲開始剤を用いた表面開始原子移動ラジカル重合法により、10量体、50量体、100量体のpoly(MPC)(PMPC)層をマグネタイトナノ粒子(MNPs)表面に構築した。マクロファージに対するステルス性と腫瘍担持マウスへの静脈注射時の腫瘍送達量の評価から、100量体のPMPC層を持つMNPs-PMPCがステルス性と腫瘍送達量に優れることを明らかにした。本年度は、より長い鎖長のPMPC層が粒子機能に与える影響を検討するため、犠牲開始剤を添加せずにMNPs-PMPCを合成した。その結果、100量体のPMPC層を持つMNPs-PMPCに比べ、マクロファージへの取り込み量が2分の1程度に減少し、腫瘍への送達量は2倍以上向上した。 さらに、悪性乳がんの表面に発現するHER2タンパク質をターゲットとし、HER2の分子標的薬であるトラスツズマブを用いた腫瘍へのターゲティングを試みた。100量体のPMPC層を持つMNPs-PMPCに対してポリマーの末端変換を行うことで、粒子表面にトラスツズマブを担持したMNPs-PMPC-Tmabを作製した。HER2陽性乳がん細胞株SK-BR-3に対して添加したところ、抗体を担持していない粒子に比べて細胞内への取り込み量が増加した。SKBR3細胞に対して、交流磁場照射によりin vitroで温熱治療を行ったところ、MNP-PMPC-Tmabを用いた系ではトラスツズマブを担持していない粒子に比べより大きく細胞の生存率が低下した。これは、MNP-PMPC-Tmabの細胞取り込み量の増加に伴い、より強力に細胞内が加温されたことで殺細胞効果が向上したためだと考えられる。以上の結果から、MNP-PMPC-Tmabを用いたHER2陽性乳がんの温熱治療の有効性が示唆された。
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