研究課題/領域番号 |
21K14471
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分27040:バイオ機能応用およびバイオプロセス工学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
森田 健太 神戸大学, 工学研究科, 助教 (60804127)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ペプチド / アルツハイマー病 / 自己組織化 / 鏡像異性体 / アミロイド / アミロイド病 / ステレオコンプレックス / ペプチド薬 / 分子動力学計算 / 分子組織化薬 |
研究開始時の研究の概要 |
世界的な高齢化の進行と共に、アルツハイマー型認知症(AD)をはじめとするアミロイド病に対する治療薬の必要性は近年ますます高まっている。ADに関しては、アミロイドベータ(Aβ)とタウ(Tau)と呼ばれるタンパク質フラグメント(アミロイド)が脳内で線維状に自己組織化することが原因と考えられている。そこで、本研究では病原性アミロイドのモデルとしてAβまたはTauを認識する配列を含む両親媒性ペプチド薬を新たに設計する。このペプチドをアミロイド線維に少数挟み込むことで「破壊的な」自己組織化を誘発し、アミロイドの分散化・無毒化に挑戦する。
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研究成果の概要 |
本研究では、アルツハイマー病(AD)の原因因子であるアミロイドベータ(Aβ)に結合するペプチドを、ペプチドの鏡像異性体同士の相互作用を利用して合理的に設計した。開発した少ないペプチドライブラリから両親媒性ペプチドf5r6を得た。f5r6はAβの自己組織化形状を、ナノファイバーから塊状凝集体に変化させることでAβの細胞毒性を減少することに成功した。これにより、従来の大規模スクリーニングが不要となり、新たな治療薬開発の道が拓けた。ただし、f5r6のAD治療薬としての機能はin vivoでは未だ実証できていない。今後、ペプチド構造の最適化やDDS技術の援用によって実用化を目指していく。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、ペプチドの鏡像異性体の相互作用を用いてADの原因因子Aβに結合するペプチドを設計した。設計された両親媒性ペプチドf5r6は、Aβの凝集形態を変化させ、「破壊的自己組織化」を実現した。これにより、従来必要であった大規模スクリーニングなしにペプチドを合理的に設計できるようになった。本成果は、これまでペプチドの鏡像異性体同士は相互作用を持たないと考えられていた常識を覆した点で学術的に意義深く、さらにそれが創薬などの実際的なアプリケーションに応用可能であることを示した点で社会的にも意義深い。
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