研究課題/領域番号 |
21K14472
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分27040:バイオ機能応用およびバイオプロセス工学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中谷 航太 九州大学, 生体防御医学研究所, 学術研究員 (70880748)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | シングルセルメタボロミクス / メタボロミクス / ナノ液体クロマトグラフィー質量分析 / uHILIC/AEX / Nano-uHILIC/AEX/MS |
研究開始時の研究の概要 |
単一細胞レベルでの代謝不均一性にはどのような意味があるのだろうか。この「問い」に答えるためには、単一細胞レベルでの定量的なメタボローム測定方法が必要である。本研究では、次の3項目を実施し、高感度・高深度単一細胞メタボローム分析法の開発に取り組む。本研究が達成されれば、従来の平均的観測では知りえなかった、真の細胞機能や個々の細胞が織りなす生命の代謝システムの本質を読み解くことに繋がる。 ①幅広いメタボロームの分離のための液体クロマトグラフィー手法の開発 ②液体クロマトグラフィー質量分析システムの高感度化 ③細胞周期の異なるHeLa細胞の単一細胞メタボローム解析への応用
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研究実績の概要 |
次世代シーケンサーの登場によって、単一細胞から核酸の解析が可能になりシングルセル解析が注目を集めている。一方、これまでの代謝研究では100万細胞以上を対象とした大量細胞での平均的観測が為されており、単一細胞から100細胞以下の微量細胞試料の測定は困難であった。本研究の目的は、単一細胞から100細胞以下の微量細胞試料からのメタボローム解析方法を開発することである。上記の目的達成のために3つの課題を設定した。1つ目が幅広いメタボロームの分離のための液体クロマトグラフィー手法の開発、2つ目が液体クロマトグラフィー質量分析 (LC/MS) システムの高感度化、3つ目が開発した手法の超微量細胞試料への応用である。2021年度は1つ目と2つ目の課題に取り組んだ。 現状のメタボローム分析法では、親水性代謝物の中でも陽イオン性や陰イオン性のように電荷の異なる代謝物の包括的な同時分離分析は困難であり、さらに、親水性代謝物と疎水性代謝物 (脂質) の同時分離分析は達成できていない。1つ目の課題に対して、代表者は、アミノ基混合ポリマー粒子充填カラムを開発し、これを用いて親水性相互作用と陰イオン交換相互作用が連続段階的に作用する新しいLC手法 (unified HILIC/AEX法と命名) を開発した。本手法では、これまで困難であったメタボローム解析を親水性代謝物と脂質の区別なく単一分析で実施可能でとなった。 一般的なLC/MSの高感度化の方法として、カラム内径の細小化がある。2つ目の課題に対して、代表者は、開発したアミノ基混合ポリマー粒子を内径100 minromのキャピラリーチップに充填した自作ナノLCカラムを用いてナノLC/MS分析システムを構築し、超高感度メタボローム分析手法を開発した。汎用法と比較して、開発したナノLC/MS法では平均で約40倍の感度向上が達成された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、3つの課題を設定した。1つ目が幅広いメタボロームの分離のための液体クロマトグラフィー手法の開発、2つ目が液体クロマトグラフィー質量分析 (LC/MS) システムの高感度化、3つ目が開発した手法の超微量細胞試料への応用である。2021年度は1つ目と2つ目の課題に取り組み、2つ目がおおむね完了した状況である。今後は、2つ目の分析法の再現性や耐久性評価といった分析バリデーションと細胞試料への応用に取り組む。
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