研究課題/領域番号 |
21K14475
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分28010:ナノ構造化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
細見 拓郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (40830360)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 自己組織化単分子膜 / 重水素化 / 赤外分光 / 金属酸化物 / 分子センサ / アルカン / 分子識別 / ナノ構造 / 自己組織化分子膜 / 揮発性有機化合物 / 分子吸着 / ナノ材料科学 / 分子認識 / 表面化学 / 赤外分光法 |
研究開始時の研究の概要 |
金属酸化物チャネル表面に分子間に空隙を有するような有機分子修飾構造を設けた有機―無機界面を創出し、高選択的なVOC(揮発性有機化合物)認識界面を実現する。本手法は、固体表面修飾分子による分子識別と、金属酸化物固体表面における分子反応とを両立するための新手法であり、分子膜上反応を用いてきた既存の有機修飾型センサでは本質的に困難であった高い選択性・感度を可能とする。本研究は,次世代IoT社会の確立に欠かせない高選択的化学センサ技術を確立すると同時に、有機―無機界面における分子変換メカニズムに関する普遍的な知見を与えるものである。
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研究成果の概要 |
VOC(揮発性有機化合物)分子センサにおいて、金属酸化物チャネル上に自己組織化単分子膜上(SAM)を修飾することが分子選択性向上に効果的との報告がなされている。しかし、高密度なSAM内にVOC分子が取り込まれることを明確に示した研究例はなく、SAMとVOC分子との相互作用についても未解明であった。本研究では、SAMの完全重水素化という手法を考案することで、分子取り込み時のSAMの構造変化を赤外スペクトル上で捉えることに成功し、アルキル―アルキル相互作用がVOC分子貫入において重要な役割を果たしていることを突き止めた。さらに、この効果を利用した分子の枝分かれ構造識別が可能であることも実証した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
「脂肪族鎖に囲まれた空間内での脂肪族の構造変化を捉える」という課題に対して、完全重水素化という手法を考案し、その有効性を示した。本研究では分子センサ表面における自己組織化単分子膜への揮発性有機化合物の取り込みと言う現象に着目したが、類似の現象は生物学分野をはじめとした様々な分野で提唱されており、それらへの応用可能性を示したという点で意義深い。また、本研究で達成した単純アルカンの構造異性体の識別は社会的ニーズが大きい一方で、その化学的反応性の乏しさから一般に困難とされる識別対象である。本研究で提唱する多空隙構造を利用した分子センサのさらなる発展がこの課題を打破することが期待される。
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