研究課題/領域番号 |
21K14488
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分28020:ナノ構造物理関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
中村 飛鳥 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 研究員 (90823584)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 超高速時間分解電子顕微鏡 / 5次元走査型透過電子顕微鏡 / ナノ音響波 / 磁気音響結合 / 5次元走査型電子顕微鏡 / 磁気誘電ドメイン / 光音響波 / 磁気・誘電ドメイン |
研究開始時の研究の概要 |
近年、磁気、強誘電ドメインを生成、駆動することで動作する高速かつ低消費電力のデバイスが注目を集めている。金属ナノドットなどのナノ構造体へパルス光を照射することで生成される「ナノ音響波」は、ナノメートル領域の波長を持つため、微小ドメインを超高速で生成、駆動する外場として期待される。 本研究では、電荷、スピン、軌道、格子といった多自由度が強く結合したペロブスカイト型酸化物系に着目した。これらの系ではナノ音響波の圧力による巨大な磁気、誘電ドメインの応答が期待される。スピンや電荷などの多自由度への敏感性と、高い時空間分解能を兼ね備える超高速時間分解電子顕微鏡により、微小ドメインの超高速応答を可視化する。
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研究成果の概要 |
本研究では超高速時間分解電子顕微鏡法を用いた、ナノ構造中の音響波と磁気・強誘電ドメイン構造を可視化手法なの開発を行い、これによる固体の超高速ダイナミクスの研究を行った。音響波の振幅や原子変位方向まで定量評価可能な5次元走査型電子顕微鏡法を確立し、シリコン薄片中を伝搬する音響波の特性を明らかにした。さらにこの手法を磁気構造の可視化が可能なローレンツ電子顕微鏡法と組み合わせることで、代表的なスピントロニクス材料である鉄ガーネット系の磁性体において、ナノ構造に特有な音響波と還流磁区の結合を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、これまでの超高速時間分解電子顕微鏡の課題であった物理量の定量評価法である5次元走査型透過電子顕微鏡法を世界で初めて確立し、ピコ秒スケールでの歪み・磁場・電場の定量評価に成功した。これにより明らかになった音響波と還流磁区との結合は、従来の磁歪とは異なる磁気音響結合の可能性がある。物質中における歪み・磁場・電場といった複数自由度の同時観測は、今後様々な物質中の自由度間の結合を明らかにすることに利用できると期待される。
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