研究課題/領域番号 |
21K14504
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
中川 充 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究員 (60848274)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 金ナノワイヤー / 金ナノ粒子 / らせん構造 / キラリティ / 低分子ゲル化剤 / 粒子膜 / 透明導電性薄膜 / ナノワイヤー / テンプレート法 / 分子集合体 |
研究開始時の研究の概要 |
金属ナノワイヤーは導電性のほか、高い透明性や柔軟性を併せ持つため、偏光子や透明電極といった光学材料、電子材料分野への応用が盛んに研究されている。本研究では特異なナノ構造を有する有機分子の集合体を鋳型とした、様々な形状を有する金属ナノワイヤーの合成法について検討するとともに、ナノワイヤーの構造と機能の関係について明らかにする。
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研究実績の概要 |
昨年度見出した、金ナノワイヤーの鋳型として機能する脂肪酸/アルキルアミンからなる分子集合体について、その形成機構を明らかにするため、調製時に用いる各分子の比率を変化させて調製し、電子顕微鏡による形状観察を試みた。その結果、添加する脂肪酸の比率が高い場合と低い場合で、主に形成される分子集合体の形状が異なることが分かった。脂肪酸の比率が低い場合は非水溶性のアルキルアミンのみが析出して形成されたと思われる分子集合体が、脂肪酸の比率が高い場合は脂肪酸と別のアミン分子からなる分子集合体が多く析出し、その中間においてのみ、目的の脂肪酸/アルキルアミンからなる分子集合体の析出量が増える傾向を見出した。現在、分子集合体の組成の分析を試みている段階であるが、新たに見いだされた脂肪酸/アルキルアミンからなる分子集合体については、アルキルアミンの二分子層が脂肪酸の二分子層に挟み込まれた超分子構造をとっていると推測している。 さらに、昨年度見出した金ナノワイヤーの直径を制御する手法を検討する過程で、新たに、金ナノワイヤーに分枝構造を修飾する手法を見出した。本手法により得られた分枝状の金ナノワイヤーの吸収スペクトルは、修飾以前に比べ可視光領域においてややブロード化し、溶液の色は褐色から黒色へと変化した。吸収帯の変化により、らせん状金ナノワイヤーの示す特異な円二色性も変化することが明らかとなった。また、金ナノワイヤーの直径を制御することで円二色性スペクトルが大きく変化することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目的は①金ナノワイヤーの鋳型となる材料の探索、②金属ナノ構造体の合成法の検討、③合成した金ナノワイヤーの特性評価、であった。 ①金ナノワイヤーの鋳型となる材料の探索では、当初予定していた無機ナノ材料を鋳型にする手法について、表面をアミノ基で修飾したシリカ微粒子を鋳型として用いることで検討した。しかしながら、シリカ微粒子表面では金ナノ粒子が形成、吸着するにとどまり、シリカ微粒子をナノワイヤー合成のための鋳型として機能させることは困難であった。一方、新規に合成したアルキルアミン分子より調製した、金ナノワイヤーの鋳型として機能する分子集合体については形成機構の解明が比較的順調に進んでおり、調製法の最適化についても検討を進めている段階である。また、②金属ナノ構造体の合成法の検討については、金ナノワイヤーの直径の精密な制御のみならず、分枝構造の修飾を可能にする新たな発見があり、一部、当初の予定以上に進展した。研究を開始した当初と比べ、より多様な形状の金ナノワイヤーを作り分けることができるようになり、今後の検討次第では金ナノワイヤーの特性と形状の関係をより詳細に検討することが可能であると考えている。③合成した金ナノワイヤーの特性評価については円二色性スペクトルにおいて、らせん状金ナノワイヤーの直径が大きく影響することを見出しており、今後の展開において期待できる結果が得られた。 以上のことから、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、今後は合成した金ナノワイヤーの特性評価に重点をおいて研究を進めていく。評価する特性としては、金ナノワイヤーの吸光帯や円二色性といった光学特性や、製膜化後の導電性などを評価する。本研究で合成する金ナノワイヤーはキラルならせん構造を有しているものもあり、特異な光学特性の発現が期待される。また、バネのような性質を有することが想定されるため、伸縮性のあるエラストマー基板上に担持させた際の導電性についても評価を行う予定である。この時、金ナノワイヤーの製膜化については昨年度以前に検討しており、その結果を利用して取り組む。また、鋳型となる新規ナノ材料の探索および金属ナノ構造体の合成法の検討については、一部で当初の想定を超える成果が得られたことから、今後も継続して取り組むこととする。
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