研究課題/領域番号 |
21K14525
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
竹原 陵介 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (00869779)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 熱伝導度 / 熱拡散率 / 有機単結晶 / πスタック / 低次元系 / 異方性 / フォノン / 比熱 / πースタック / 熱輸送特性 |
研究開始時の研究の概要 |
近年熱マネージメントを目的とした熱輸送研究が盛んに行われているが、有機物質、特に有機単結晶の熱輸送研究はほぼ未開拓の領域である。そこで本研究は、有機単結晶に着目し、その熱輸送特性を明らかにすることで、新たな熱輸送の基礎学理構築を目指す。具体的には、申請者が見出した低次元有機単結晶が示す「熱伝導度の温度依存性が室温付近で正の傾きを持つ」というこれまでにない振る舞いの起源を、定常比較法を中心とした実験により解明する。また、温度波分析法により低次元有機単結晶における熱輸送の異方性も明らかにする。さらに、低次元有機単結晶の外場応答も調べ、外場によって熱伝導度を変化させる新たな制御法の開拓にも挑戦する。
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研究成果の概要 |
本研究ではこれまで研究例の少なかった有機単結晶を対象に、熱伝導測定系の確立、種々の熱物性量の測定、および熱輸送特性について検討を行った。今回対象としたのはπスタックカラム構造を有する低次元有機単結晶である。その結果、πスタック方向には、よく知られているように音響フォノンが熱を運ぶのに対して、ファンデルワールス力のみが働く方向にはフォノンの形成は観測されなかった。原子が均一に配列した単結晶であるにもかかわらず、この方向にはアモルファス的な熱伝導挙動が観測された。また有機物質特有の分子内振動に蓄えられた熱エネルギーも、カップリングを通して音響フォノンが運んでいることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでに行われてきた有機物質における熱輸送研究は、汎用的な高分子結晶や、有機電荷移動錯体、また界面熱材料開発を目的として有機単層膜を対象に行われてきたが、無機物質に比べてその例は依然少ない。特に低分子量の有機単結晶の熱輸送研究例は少ない。しかし、有機導体、有機半導体の電気的、磁気的、光学的研究の歴史を振り返ると、これらは低分子量の単結晶を対象とした研究から始まり、大きな発展をとげた。このような背景を考えると、今回の有機単結晶を対象とした熱輸送研究により得られた知見は、基礎、応用も含め、今後の有機熱輸送研究の基盤となり得ると考えられる。
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