研究課題/領域番号 |
21K14540
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 広島大学 (2023) 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 (2021-2022) |
研究代表者 |
角田 一樹 広島大学, 放射光科学研究センター, 特任助教 (20882369)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | ホイスラー合金 / ワイル磁性体 / 角度分解光電子分光 / スピン分解光電子分光 / 共鳴光電子分光 / ハーフメタル / 異常ネルンスト効果 / スピン・角度分解光電子分光 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、巨大異常ネルンスト効果が観測されているホイスラー型ワイル磁性体薄膜Co2MnZ(Z=Al,Si,Ga,Ge)に着目し、スピン・角度分解光電子分光、熱輸送測定、理論計算によって、電子構造と熱電能の対応関係を解明する。光電子分光実験では、軟X線および真空紫外線放射光を相補利用することによって、バルクと表面の電子構造を切り分けて観測する。また、元素の部分置換による4元系ホイスラー合金薄膜や、組成傾斜の付いたコンビナトリアル膜の作成によって熱電能の増強も狙う。特に、4元系薄膜の作成はホイスラー合金が持つ複数の機能性の同時発現にも波及する可能性があるため、物質探索の側面からも研究を進める。
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研究成果の概要 |
本研究では巨大熱電能が観測されているCo基ホイスラー合金薄膜に着目し、電子構造を種々の光電子分光法によって調べた。まず、最大の熱電能が観測されているCo2MnGa薄膜について軟X線角度分解光電子分光を行ない、トポロジカルに非自明なバルクの電子構造を明らかにした。また、ワイル強磁性体候補物質Co2FeSi薄膜について共鳴光電子分光を行い、電子相関効果の大きさに関する実験的な知見を得ることにも成功した。ハーフメタルであることが予測されているCo2MnSi薄膜については、真空紫外線を用いたスピン・角度分解光電子分光を行い、熱励起マグノンがスピン脱偏極機構に重要な役割を担っていることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究によって、ワイル磁性体が持つ特殊な電子構造と巨大熱輸送特性の対応関係を解明することに成功した。現在、室温・ゼロ磁場で得られているワイル磁性体の熱電能は実用環境発電に応用するには今一歩及ばないが、本研究を通して得られた成果が熱電能の更なる向上に寄与することが期待される。また、異常ネルンスト効果のみならず、ハーフメタル性、電子相関効果などこれまで未解明となってきたCo基ホイスラー合金の基礎特性に関する知見も得ることができたため、その学術的意義は大きい。
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