研究課題/領域番号 |
21K14553
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
橋本 由介 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (60872877)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | X線二次元検出器 / 蛍光X線ホログラフィー / 軟X線放射光 / 原子配列計測 / X線二次元検出器 / 蛍光X線ホログラフィー |
研究開始時の研究の概要 |
蛍光X線を角度分解して測定する蛍光X線ホログラフィーは、励起原子の周囲の原子配列を位相などの事前情報なしで決定することが可能な元素分析技術である。蛍光X線ホログラフィーは微量添加元素の原子配列決定で多くの成果を挙げているが、X線検出器のエネルギー分解能に問題を抱えている。市販のX線二次元検出器の分解能では、原子配列由来の化学シフトを分離することは不可能であり、化合物によっては元素ごとに蛍光X線を分析することさえ困難な場合がある。本研究では新原理に基づくX線二次元検出器を開発しエネルギー分解能を飛躍的に向上させる。開発するX線検出器を実験室レベルで運用可能な蛍光X線ホログラフィー装置に応用する。
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研究実績の概要 |
本研究は、高エネルギー分解能なX線二次元検出器を開発し、材料中のドーパントの価数ごとの原子配列を蛍光X線ホログラフィーで可視化することを目的とする。開発を目指すX線二次元検出器の構造を要約すると、蛍光X線を直接分光せず光電子に変換して光電子分光の電子エネルギー分析器で観測することで、エネルギー分解能を飛躍的に向上させ二次元検出を可能にするものである。 硬X線エネルギー領域の蛍光X線分析を達成するために、電源や真空チャンバーも整えることができたが、現在、光電子分析器内のエネルギー分析を行う金属メッシュの開発が遅延している。高い形状精度が求められる部品なため時間を要しているが、メッシュを整形するための治具形状を検討し製作を進めている。 並行して本技術の実証実験を兼ねて、既にSPring-8 BL25SUで運用されている阻止電場型エネルギー分析器(RFA)を応用することで、スピネル型鉄酸化物の軟X線領域での蛍光X線角度分布の測定を行った。SPring-8 BL25SUのRFAは、現在開発中のX線二次元検出器のベースとした実験装置である。この分析器を利用してメッシュを透過した蛍光X線の広角角度分布の測定に成功し、X線検出器の装置構成でエネルギー分析することが可能であることを実証できた。またグラフェン上に金を蒸着した金透過膜を製作する技術開発を行った。次回の放射光実験でエネルギー分析された明瞭なX線角度分布を測定できることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
硬X線エネルギー領域の蛍光X線分析を達成するために、装置部品、真空チャンバーや電源は整えることができたが、現在、光電子分析器内のエネルギー分析を行う金属メッシュの開発が遅延している。金属メッシュを高精度で球面に加工するための技術開発が必要であるが、今年度は目標とする形状精度を得ることができなかった。メッシュ製作治具や形状測定器の整備済みであるため、急ぎ、メッシュを整形するための治具形状を検討し製作を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は光電子ホログラフィー装置の組み立てを完了し、要素試験を実施する予定である。エネルギー分析用の金属メッシュ製作環境は整えたため、早急にメッシュ製作技術を確立する。 また、2023年7月に予定されているSPring-8 BL25SUの装置を使った実験ではグラフェン透過膜を搭載した試料キャリアを使って実証実験を行う。この修正により二次元X線検出器の装置構成と同じジオメトリーで実験が可能になり、エネルギー分析された明瞭なX線角度分布を測定できることが期待される。
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