研究課題/領域番号 |
21K14556
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
|
研究機関 | 室蘭工業大学 (2023) 豊田工業大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
趙 越 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (20832166)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 中赤外イメージング / 赤外分光吸収法 / SHG顕微鏡 / イオン液体 / 蜘蛛 / 赤外吸収分光法 / 蜘蛛の糸 / 多光子顕微鏡 / 蜘蛛の粘球 |
研究開始時の研究の概要 |
蜘蛛の巣は虫などを捉えるためにあるが、虫を捉える役割を果たすのは横糸に被覆される「粘球」と呼ばれるインテリジェントな球状の粘着性物質である。一方、粘球の性質を解明する際の問題点の一つに、粘球では接触、タッチすることによって、その形態と成分分布が大きく変わることがある。そのため、粘球を分析するのに最適な手段は光学的手法である。本研究では、瞬間的に強い光を出すレーザーを用いて粘球に照射し、粘球特有の色(波長)を顕微鏡で観察し、分子構造の特徴や成分分布の変化を明らかにする。
|
研究成果の概要 |
蜘蛛の巣に含まれる粘性物質は、インテリジェントな材料特性を示すことが示唆されているが、その特性や粘着メカニズムの理解は完全ではない。本研究では、その粘性物質の挙動を解明するための光プローブ分析システムを開発した。このシステムを用いて、蜘蛛の巣の粘性物質中の低分子量化合物と糖タンパク質の分布を特徴付け、可視化することに成功した。その結果、粘性物質にイオン液体が含まれていることが明らかとなり、付着時にイオン液体の濃度変化によってタンパク質が析出される様子を確認した。これらの発見は、蜘蛛の巣の粘着メカニズムの解明に重要な実験的根拠を提供するものである。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
蜘蛛の巣に含まれる粘性物質は、最も強力で効果的な天然接着剤の1つと見なされている。本研究は、蜘蛛の巣の粘着メカニズムに関する実験的根拠を提供し、粘着前後の構成物質の分布変化を可視化した。元素と分子のマッピングにより、粘性物質中にイオン液体が存在することを発見し、このイオン液体が粘着プロセスで重要な役割を果たすことを証明した。これらの結果は、医薬品、バイオポリマーの溶解処理、材料科学、分析化学、電池電解質など、幅広い分野での応用が期待される。特に、新しいバイオ接着剤の開発や自然界から得られる高性能材料の探求において重要な見解を提供した。
|