研究課題/領域番号 |
21K14560
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宍戸 博紀 東北大学, 工学研究科, 助教 (90827792)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 分離変換技術 / 密度汎関数理論 / 分子動力学法 / 熱重量分析 / 機械学習 / 酸化還元電位 / 化学ポテンシャル / 溶解度 / 核変換 / 溶融塩 / 核分裂生成物 / 電子状態 / 電気化学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、液体核変換ターゲットの創製に向けて、溶融塩溶媒(LiF-BeF2)と添加した核分裂生成物(FP)元素が及ぼしあう相互作用を解明し,化学的安定性と物性を評価するための方法論の確立を目指す。溶融塩溶媒中におけるFP元素の電子状態計算、ならびに電気化学測定から,溶媒中で安定して存在するFP化合物とその決定因子を解明するとともに,溶媒元素からFP元素に作用する原子間ポテンシャルを構築し,数値解析による溶融塩の諸物性評価手法を確立する.
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研究実績の概要 |
溶融塩溶媒に添加した核分裂生成物の安定性を評価するために、フッ化物溶融塩中での添加元素の酸化還元電位を数値解析による評価可能性について検討した。密度汎関数理論計算(DFT)に基づく分子動力学計算により、LiF-BeF2溶媒へ核分裂生成物元素の単体とそのフッ化物をそれぞれ添加した系の全エネルギーを計算し、それらとフッ素ガスの自由エネルギーの値から、標準フッ素電極を基準とする各元素の酸化還元電位を評価した。評価手法の妥当性確認のため、実験値のあるCrとFeについても同様に評価したところ、Crでは±0.5 Vの範囲で一致したが、Feでは1.5 V以上の差が見られた。DFTに基づく分子動力学計算ではその計算コストからシステムサイズを大きくすることができず、評価結果に大きなばらつきが見られたことが原因の一つであると考えられる。今後、評価結果の妥当性について、核分裂生成物元素を用いた実験測定との比較が必要である。 核分裂生成物を添加した溶融塩の諸物性予測手法確立に向け、その一つとして古典分子動力学計算による粘度評価を実施した。溶媒候補の一つであるBeF2は、そのガラス様の構造から粘度が極めて大きく、流動設計において大きな問題となる。これに対し、添加した核分裂生成物がどのように影響を及ぼすかを数値解析により評価した。ZrF4のような大きな価数をもつ塩とBeF2を混合した場合、一般的なLiF-BeF2よりも高い粘度を示した。Zr-Fの結合およびBe-Fの結合それぞれの緩和時間が長いことが高粘度の原因となることが示唆された。一方、同じ核分裂生成物であるCsをBeF2と混合した場合、その粘度は大きく低下するという結果が得られたことから、アルカリ金属フッ化物のような1価の塩がBeF2の粘度低下に寄与することが明らかとなった。これは今後の核変換ターゲットの材料設計において有用な知見である。
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