研究課題/領域番号 |
21K14569
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
深津 勇太 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核燃料・バックエンド研究開発部門 核燃料サイクル工学研究所 環境技術開発センター, 研究職 (80822048)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 結晶質岩 / 黒雲母 / マイクロX線CT / 拡散試験 / レーザーアブレーションICP-MS / 収着性核種 / 拡散係数 / 地層処分 / 拡散 / 雲母 / レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析 |
研究開始時の研究の概要 |
高レベル放射性廃棄物の地層処分で想定される岩盤の一つである結晶質岩において、セシウムなどの放射性核種は収着サイトの豊富な雲母中に濃縮される。しかし、地層環境の長期変遷により、雲母中から結晶質岩全体に拡散し、高濃度の核種漏えいが懸念される。したがって、地層処分の安全性評価のため、雲母中の収着性核種の拡散が、結晶質岩全体の拡散に与える影響を評価する必要がある。本研究では、結晶質岩中の雲母構造と核種の移動度を示す拡散係数の関係を明らかにし、その移動度が最大となる雲母の分布条件を評価する。これより、不確実性を最小限に抑えた核種移行予測が可能となり、安全評価の信頼性向上が大いに期待される。
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研究実績の概要 |
高レベル放射性廃棄物の地層処分で想定される岩盤の一つである結晶質岩において、セシウムなどの放射性核種は、収着サイトの豊富な雲母中に濃縮される。しかしながら、地層環境の長期変遷により、核種が雲母中から結晶質岩全体に拡散することによる、高濃度の核種漏えいが懸念される。したがって、地層処分の安全性評価のため、雲母中の収着性核種の拡散が、結晶質岩全体の拡散に与える影響を評価する必要がある。本研究では、マイクロX線CTとレーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)を用いて、結晶質岩中の雲母構造と核種の移動度を示す拡散係数の関係を明らかにし、その移動度が最大となる雲母の分布条件と拡散係数の上限値を評価することを目的としている。 本年度は、所属機関の海外留学制度により、米国テキサス大に滞在し、現地において、花崗岩や花崗閃緑岩等の岩石を対象とした収着性トレーサー(Cs+、Co2+、Sr2+)の透過拡散試験を実施するとともに、レーザーアブレーションICP-MSを用いて、拡散試験後の岩石試料を対象として、岩石中の黒雲母に収着したトレーサー元素の分布を取得した(留学期間:令和4年3月~令和5年3月(1年未満))。これらの結果から、Cs+、Co2+、Sr2+の収着機構の違い、すなわち黒雲母中のフレイドエッジサイトを含む収着サイトに対する陽イオンの親和性によって、それらの拡散性(Sr2+>Cs+>Co2+)が異なることが示唆された。この結果は、黒雲母を多く含む結晶質岩石における収着性核種の拡散性を評価するための重要な知見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初計画通り、収着性トレーサーの透過拡散試験及びレーザーアブレーションICP-MS測定を実施し、遅れも無く順調に進んだため、おおむね順調に進展している、と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロX線CTとレーザーアブレーションICP-MSを用いて取得した黒雲母の空間分布と結晶質岩雲母中の核種の拡散データに基づき、結晶質岩中の核種移行シミュレーションを実施する予定である。シミュレーション結果から結晶質岩全体の核種の拡散係数を求め、この値が最大となる現実的な黒雲母の分布条件を特定することにより、拡散係数の上限値の評価を試みる。
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