研究課題/領域番号 |
21K14578
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
岡本 京祐 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (30748546)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 伊豆半島東部 / 地熱システム / 微小地震 / 地下構造 / 地熱 / 伊豆半島 |
研究開始時の研究の概要 |
持続可能な開発目標 (SDGs)の達成のためには,クリーンで安定的なエネルギーの確保が必須である。この点において,温室効果ガスをほぼ排出せず,天候に左右されない地熱発電は有望な手段である。しかし,環境省が提示する国内の地熱ポテンシャル量に比べ,実際の発電量は未だ十分ではない。ポテンシャルの高い地域のうち,特に伊豆半島東部地域では,地熱貯留層の構造評価等の基礎調査も未だ十分ではない。原因の一つは,地熱開発による温泉等の周辺環境への影響が未知数なことである。本研究では,周辺環境へ影響を与えない受動的な地震観測に基づき,当該地域の地熱貯留層構造を明らかとすることを目指す。
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研究実績の概要 |
過年度の検証の結果,本研究で対象とする伊豆半島東部の地熱地域(熱川周辺)の微小地震活動は,既存の公的地震観測網(伊豆半島沖の群発地震の観測を意図した公的機関の地震観測点が10点程度)では十分に捉えられていないことが明らかとなっている。そのため,2021年度,2022年度を通して,当該地域に臨時の微小地震観測網の整備を行ってきた。 2023年度は,4月に新たに4点の微小地震観測点の設置を行い,既存の1観測点と合わせて,対象地域における震源決定を行うために必要な観測点数の確保を達成した。さらに,臨時の微小地震観測網の維持管理を行い,データの蓄積を継続した(2023年4月,11月,2024年1月にバッテリー交換等のメンテナンスを実施)。それと並行して,過去の複数地熱地域で得られた微小地震データを教師データとして用いて,機械学習に基づいて,地熱地域で発生する微小地震の波形読み取りを自動的に行う手法を開発した。 2023年4月・11月のメンテナンス時に収集した臨時の微小地震観測網で得られた地震波形データ,および既存の公的観測網から得られた地震波形データを用いて,自動波形読み取り・震源決定,および手動での震源決定結果の精査を行った。その結果,759個のイベントに対して自動的に震源決定を行い,そのうち臨時の微小地震観測網近辺で生じたと考えられる7個の地震について,手動での震源位置の精査を行った。また別途,2022年2月に伊東市付近(本研究対象領域の北側)で発生した群発性地震に対して,主に公的地震観測網で得られた地震波形データを用いて震源決定(931個)を行った。今後,必要に応じて本群発性地震のデータの活用を行う。 今年度実施した震源決定作業の結果,対象とする領域での地震数(7個)は,地熱システムの評価を行うためには十分ではない。次年度も,引き続き臨時の地震観測網を用いた観測が重要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に実施予定であったが,新型コロナ感染症拡大の影響等により遅延していた臨時の地震観測点の拡充を,2023年4月に速やかに実施した。これにより,やや遅れていた観測体制構築に係る影響を最小限とし,早期に地震観測作業の正常化を図ることができた。2023年度は,取得した地震波形データの解析作業を進めるなど,当初の予定通りに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
伊豆半島東部の地熱地域(熱川周辺)における2022年度,2023年度の地震活動が低調であったため,2023年度までに整備した臨時の微小地震観測網を,2024年度も引き続き維持管理して,地震波形データの蓄積に努める。 得られた地震データに対し,地震波形情報に基づいた震源決定(Double-Difference法, Waldhauser and Ellsworth, 2000)を行い,高精度(10 m程度の空間分解能)な震源分布を求めるほか,震源メカニズム解析等も組み合わせて,個々の地震イベントへの流体の寄与を推定する。以上を通して流体流動を推定するとともに,弾性波トモグラフィ・反射波イメージング手法を適用し,地下速度構造・構造境界分布を明らかにすることで,貯留層の拡がりや,高透水性き裂の分布を推定する。 対象地域における地震活動はここまで低調である。今後も十分な地震活動が期待できない場合は,常時微動を用いた地下構造モニタリング手法を検討するなど,何らかの対策が必要である。
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