研究課題/領域番号 |
21K14587
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
春田 直毅 京都大学, 福井謙一記念研究センター, 特定助教 (90784009)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | クラスター / 電子共役 / 混成軌道 / ガラス / 発光 / 縮退 / 力学的対称性 / 数理化学 / 密度汎関数理論 / 金属クラスター |
研究開始時の研究の概要 |
縮退及び擬縮退は、特異な電子物性や光物性の原因として注目されている。申請者は近年、特定の金属元素からなるクラスターが、球対称の縮退をも超える異常な縮退度の擬縮退(超縮退)をなすことを示し、その原因が特別な力学的対称性にあることを突き止めた。本研究では、超縮退を示す新たな物質群の理論設計を行い、非自明な選択則など、超縮退物質の励起子ダイナミクスを包括的に解明した上で、新たな光機能性材料を創出する。
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研究成果の概要 |
多原子クラスターの系統的予測法を拡張することに成功した。旧来の球対称シェルモデルは、クラスターが仮想的に球形であると仮定するため、構造ごとの安定性までは議論できない。我々はこれまでに、クラスターの形状ごとの軌道の分裂やシフトに基づいて、安定クラスターを効率的に探索する対称適合軌道モデルを構築してきた。今回さらに、クラスター間に広がる電子共役の概念を導入することで、大きなサイズの安定クラスターを系統的に生成する新たな方法論を導入した。また、発光性Agドープ無機ガラスや発光性Snドープ無機ガラスにおいて、発光性ユニットとなるクラスターが埋め込まれていることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今回見出したクラスター間に広がる電子共役の概念は、従来の有機化学で確立されている炭素骨格の理解の仕方がそのままクラスターにも応用できることを示唆しており、クラスター科学の新たな基本原理となると考えられる。これは、クラスターをビルディングブロックとする新たな高次材料を創製する上で重要な成果といえる。また、ガラス中に基本単位クラスターを見出したことについても、ガラスという無秩序にも見える構造が実はクラスターの集合体とみなせる可能性があることを示唆しており、ガラス材料科学の発展に大きく寄与するものと考えられる。
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