研究課題/領域番号 |
21K14588
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長塚 直樹 京都大学, 理学研究科, 助教 (00826232)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 表面 / 和周波発生振動分光 / 水分子 / 水酸基 / ステップ / プラチナ / 水素結合 / 遷移金属酸化物 / 水素 / ポーラロン / 拡散 |
研究開始時の研究の概要 |
二酸化チタンは光触媒のモデル物質として知られ,構造異性体間で触媒活性が異なるが,その起源は未解明である.触媒反応の活性は,表面に吸着した原子・分子の拡散や脱離といった素過程と密接に関連している.特に水分子の分解反応においては,プロトン移動が電子移動と協奏的に起こるプロトン共役電子移動が重要であることがわかっている.一方で,吸着種が誘起する電子状態は構造異性体間で空間的な局在度が大きく異なることが知られているが,プロトン移動との関係は明らかとなっていない.そこで本研究では,高い時間分解能をもつ界面選択的な振動分光と核反応を利用した水素の検出を通じて,プロトン移動とポーラロンの関係を明らかにする.
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研究実績の概要 |
二酸化チタン表面では,水素原子が表面上の酸素原子に吸着して水酸基を形成する.この水酸基による信号を和周波発生振動分光でとらえることが第一の目標であるが,この水酸基による赤外分光の信号強度は微弱であることが報告されている.本年も昨年度に引き続き,この微弱な信号をとらえるために検出効率の向上を目指して研究開発を行った. アナターゼ型二酸化チタンの最安定面と同じ対称性を持つPt(553)を試料に用い,酸素と水分子の共吸着により表面に水酸基を形成し,和周波発生振動分光を行った.水酸基は,酸素還元反応,水素発生・還元反応,水生成など、多くの重要な電気化学反応において重要な役割を果たしている.これまで,酸素還元反応におけるステップの重要性は、微斜面を用いた系統的な研究によって明らかにされてきた.Pt微斜面における水酸基の吸着構造と、共吸着した水分子との水素結合ネットワークの詳細を明らかにするため、超高真空条件下でヘテロダイン検出振動和周波発生分光法を用いて、Pt(553)上の酸素原子と水分子(D2O)の共吸着を調べた.非線形感受率の虚部スペクトルの測定と密度半関数理論による計算からステップに吸着した水酸基がテラスに吸着した水分子の配向を下向きから表面平行方向に変化させることを見出した.上記の成果をまとめて学会発表を行った. また,上記に加えてさらに検出効率を向上させるため,あらたに光学系と真空チャンバーの開発を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はヘテロダイン検出和周波発生振動分光によるプラチナ表面に吸着した水酸基の検出と吸着構造の解析,また,水分子との共吸着構造を解明した.C1vの対称性を持つ表面上での水分子と水酸基による信号の解析方法の確立に成功したので,二酸化チタン表面の研究へ移行可能な段階であると考えれる.一方で二酸化チタン表面では,信号が得られず実験が進んでいない.二酸化チタン表面での実験では,さらに検出効率を向上させる必要があると考えられるため,現在新たに超高真空チャンバーの開発を行っているところである.
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今後の研究の推進方策 |
和周波発生振動分光の検出効率を向上させるために,より試料までの光路長を短くして測定を行う必要があると考えられる.このための新たな光学系と真空チャンバーの開発を行っている.現在プラチナ表面における和周波発生は確認しているので,試料を二酸化チタンに交換し,二酸化チタン表面に吸着した水分子について測定を行う予定である.その後,さらに信号が微弱であると考えられる水酸基の検出を目指す.
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