研究課題/領域番号 |
21K14590
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
宮田 潔志 九州大学, 大学院理学研究院, 准教授 (80808056)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 発光性希土類錯体 / 時間分解分光 / 光化学 / 発光材料 / エネルギー移動 / 有機EL / 時間分解発光分光 / 希土類発光体 / 有機デバイス / 機能性発光分子材料 / 超高速分光 / 分光電気化学 |
研究開始時の研究の概要 |
希土類発光体は発光材料として魅力的だが、吸光係数が小さいため高効率発光の達成には光増感部位を隣接させて高効率でエネルギー移動させる必要がある。Eu3+錯体などで見られる電荷移動性の励起状態が光物性を変調していると予想されているが、どのように光誘起エネルギー・電荷移動に影響するかわかっていない。 そこで、外場として電場を印可することにより励起状態のエネルギー準位を能動的に操作し、検出が困難とされてきた励起状態がダイナミクスに与える影響の実態に迫る。印可電場の関数として吸収・発光スペクトル及び励起状態のダイナミクスをレーザー分光により追跡し、電荷移動性の励起状態の役割を分子レベルで明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究課題では、発光性希土類錯体の有機配位子-希土類イオン間のエネルギー移動の学理を追究し巧みに操作することで、発光機構の解明と機能発現の達成を目指した。時間分解発光分光や過渡吸収分光をはじめとしたレーザー分光を適用することで、具体的には①三価ユウロピウム錯体の準位選択的な分子内エネルギー移動の時間スケールとダイナミクスの解明、②三価テルビウム錯体の4f軌道-配位子三重項励起状態の逆エネルギー移動の活性化障壁の解明、③ホスト-ゲスト増感を活用した強発光三価ユウロピウム薄膜の創成 などの成果を挙げた。さらに電場印加下のダイナミクスを測定する分光用デバイスの開発も手掛けることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
希土類イオンの演色性の高い発光は更なる応用の観点から意義があるが、高効率化の鍵となる配位子-希土類イオン間のエネルギー移動は未解明な点が多く、高効率化のデザイン指針は必ずしも確立されていない。希土類イオンは4f軌道由来の多彩な電子配置を取るため、基底状態・励起状態ともに様々なスピン多重度を有し、有機配位子が取り得る一重項・三重項とは異なる。従って配位子-希土類イオンのエネルギー移動はスピン転換を伴う電子ダイナミクスであり、この電子・構造・スピンの自由度が関わる複雑なメカニズムを独自の時間分解分光のアプローチから解明した点は基礎分子科学としても意義が大きい。
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