配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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研究実績の概要 |
本年度は、反応のモデル化合物となるフルベン誘導体(6,6-アルキルまたはアリールフルベン)の合成を行い、その光反応に対する挙動を調べた。特に、光触媒による一電子酸化反応、続くフルベンーベンゼン転位が進行することを期待し、TBADT, Ir(ppy)系, Ru(bpy)系, さらには4CzIPN系などのフォトレドックス触媒存在下、CFLまたはLED光による反応を試みた。さらに、光によらない一電子酸化試薬(DDQなど)の利用も試みた。しかし、基質の分解等が原因となり、残念ながら目的の反応の実現には至っていない。 光・酸素と極微量(0.001mol%程度)の増感剤存在下でフルベンが速やかに反応し、環開裂を伴い3,3-ジアルキル-4,5,6,7-デヒドロオキセパノンという高い酸化数を持つ7員環化合物を与えることがわかった(文献検索の結果、これは極めてマイナーではあるが既知反応であった)。少なくともフルベンの環構造は破壊されているため、さらなる誘導化によって目的を達成できる可能性がある。例えば、生成物はカルボカチオン転位、ノルカラジエン型のシグマトロピー転位、還元反応という複数の段階を踏めば1,2-ジアルキルベンゼンに誘導できる可能性があると考えられる。そこで、ある程度の量を合成し、現在検討を行っている。 本筋とは必ずしも関係ないが、フルベンの興味深い挙動として、アセトニトリル中でトロピウム塩と反応させると速やかにフルベンのおそらく1,2-位が反応し、ポリマー化することがわかった。
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