研究課題/領域番号 |
21K14629
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
保野 陽子 九州大学, 理学研究院, 助教 (40736500)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | ホモプシン / 環化 / 側鎖 / チューブリン重合 / 非天然型アミノ酸 / ペプチド / 全合成 / 抗がん / 作用機序 |
研究開始時の研究の概要 |
がんは本国の死亡要因の第一位であり、今後も患者数は増大すると考えられている。そのため新しいがんの治療法の開発は早急の課題である。本研究では、抗がん活性を示す天然物ホモプシンに着目し、ホモプシンの初の全合成、および構造活性相関研究を行う。あわせて、がん細胞に作用させた時の遺伝子解析から、ホモプシンの未知の活性発現機序の解明に迫るとともに、新たな抗がん剤開発への道筋を切り拓く。
|
研究実績の概要 |
ホモプシン類は、オーストラリア等に生息するマメ科植物に寄生するカビの二次代謝産物として見出された。本天然物の生物活性発現機構を明らかにすることを目指し、前年度に引き続いてホモプシン類の全合成に取り組んだ。まず天然物の環状部位を合成するため、前年度に合成したトリペプチドの分子内環化反応を試みた。検討の結果、縮合剤の希釈溶液に、環化前駆体をゆっくりと添加することが反応の進行に重要であることが分かった。さらに縮合剤を検討した結果、8割程度の高収率にて望みの環化体を得ることに成功した。環化体が得られたので、N-メチル化と酸化による環状部位への変換を行った。N-メチル化では一部保護基が除去されてしまったが、のちに生成物を収束されることができた。続く酸化はスムーズに進行し、ホモプシンAの環状部位を合成することができた。 続いて市販の4-ヒドロキシプロリンを出発物質として、我々が独自に開発したα-ジフェニルホスホノグリシネートとの連結、つづくE-選択的オレフィン化を行うことで、ホモプシンの側鎖部位に相当するトリペプチドを合成した。 上記で合成した環状部位と側鎖部位の連結に向け、デヒドロプロリンをモデル基質として環状部位との縮合を検討したところ、目的物の他にアズラクトンが副生する結果となった。現在、アズラクトンの生成を抑えるための反応条件を検討中である。さらに別途、ホモプシン側鎖部位の活性発現における役割を明らかにするために、側鎖部位の抗がん活性評価を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
天然物の環状部位および側鎖部位の合成が完了した一方で、両者の連結には至っていない。令和4年度中に全合成の完了を目標としていたため、進捗がやや遅れていると評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
縮合反応条件を速やかに決定し、ホモプシン類の全合成達成を目指す。また側鎖部位の活性評価をおこない、抗がん活性活減における役割を明らかにする。活性が見出された場合は、側鎖部位のアナログの合成にも取り組む。
|