研究課題/領域番号 |
21K14631
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
山下 賢二 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (50851911)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | ハロ環化 / 有機分子触媒 / 不斉合成 / ホスフィンオキシド / Lewis塩基 / ブレンステッド塩基 / 不斉反応 / ルイス塩基 / 軸不斉 / 超分子 / ハロゲン化 |
研究開始時の研究の概要 |
ビスホスフィンオキシドは、ホスホリル基に由来する優れたルイス塩基性をもち、遷移金属の二座配位子やルイス塩基触媒としての有用性が示されてきた。一方、ホスホリル基のブレンステッド塩基性に着目した触媒開発は殆ど行われていない。本研究では、従来見過ごされてきたビスホスフィンオキシドのブレンステッド塩基としての機能を基盤として、不斉有機分子触媒の新たな設計指針を導出する。また、従来のいかなる有機分子触媒でも達成できなかった分子活性化様式に基づいて、反応の高効率化や高次選択性の制御を実現し、医農薬品や液晶材料の原料である高付加価値キラル化合物を合成する技術を確立する。
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研究成果の概要 |
本研究では、ホスフィンオキシドのブレンステッド塩基としての機能に着目し、新規触媒機能の開拓に挑んだ。その結果、キラルビスホスフィンオキシドがルイス/ブレンステッド塩基協奏触媒作用を示すことを見出し、本触媒作用が不斉ハロ環化反応に有効であることを明らかにした。つまり、ビスホスフィンオキシドの2つのホスホリル基のうち、一方がルイス塩基としてハロゲン化剤を活性化し、他方がブレンステッド塩基として基質を活性化することでハロ環化反応が高効率かつ高立体選択的に進行することがわかった。また、今回見出した触媒作用を利用することで、不斉ハロ環化による世界初のパラレル速度論的光学分割にも成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、キラルビスホスフィンオキシドがルイス/ブレンステッド塩基協奏触媒作用を示すことを見出した。ホスフィンオキシドのブレンステッド塩基としての機能は従来見過ごされてきたが、本機能を活かすことで不斉ハロ環化反応における位置、立体、化学選択性を同時に制御できることがわかった。本成果は、ホスフィンオキシドがキラルブレンステッド塩基触媒として利用できることを示す重要な学術的知見と言える。また、本協奏的触媒作用は様々な不斉ハロゲン化反応に適用できることを示唆する結果が得られており、創薬化学や材料化学など多岐にわたる学術領域に貢献することが期待される。
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