研究課題/領域番号 |
21K14644
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 (2022) 京都大学 (2021) |
研究代表者 |
田端 千紘 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究職 (60783496)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | ウラン磁性体 / 構造解析 / 結晶構造解析 / 帯磁率 / アクチノイド / 磁性 / 錯体 |
研究開始時の研究の概要 |
フタロシアニン分子は非常に多種の金属と錯体を形成し、中心金属の性質を色濃く反映した多彩な物性(磁性、電気伝導性など)を示す。3d遷移金属元素や4f希土類元素のフタロシアニン錯体について数多くの研究が行われてきた一方、5f電子を有するアクチノイド元素のフタロシアニン錯体の研究例は非常に少ない。本研究では、アクチノイドフタロシアニン錯体における5f電子磁性と伝導性の相関現象を探索することを目的とし、電解酸化によって異なるカウンターアニオンを導入することで電子状態を変化させたアクチノイドフタロシアニン錯体について、微視的な電子状態の視点に基づいて熱力学特性、輸送特性を評価する。
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研究実績の概要 |
ウランフタロシアニン錯体の一つである、サンドイッチ構造をもつ4価ウランフタロシアニン錯体UPc2について、中性種とカチオン種を合成し、結晶構造を決定し、(中性種についてのみ)中心金属であるウランイオンが示す磁性を調べた。中性種に関しては従来報告されていた構造と同じ構造であることが同定され、カチオン種に関しては過去に合成の報告が無い[UPc2][BF4]の結晶構造を初めて決定した。いずれもサンドイッチ状のUPc2分子が積層した層状構造をとることが確認された。中性種の磁気感受率の測定結果について結晶場解析を行い、擬縮退した2準位に由来するキュリー常磁性を低温まで示すことを明らかにした。さらに、第一原理計算による構造最適化を行い、カチオン種においてのみ、X線構造解析から決定した分子構造から大きく湾曲した構造が示唆され、結晶化に伴う強いパッキングの効果の存在が示された。これらの結果は2023年1月にJournal of Molecular Structure誌に掲載許可され、2023年4月に出版された。上記の研究結果を受けて、層状構造を有するウラン化合物におけるウランイオンが示す磁性をさらに詳細に調べるために、中性子散乱実験の実施に向けた準備を開始した。はじめに実験条件等の最適化のため、関連化合物としてハニカム層状構造をとるU2Pt6Ga15の中性子散乱実験を実施した。実験の結果、比較的少量の試料でも磁性由来の信号が観測可能であることがわかった。得られた磁気散乱の回折パターンを群論的手法を援用し解析することで、本物質の低温の磁気構造の決定に成功し、この成果について2022年8月に開催された国際学会で口頭発表を行った。論文投稿については現在準備中であり、2023年度前期を目処に国際雑誌に投稿予定である。同型化合物のU2Pt6Al15についても同様にデータを取得し、現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウランフタロシアニン錯体およびその電解酸化カチオン種の合成・結晶構造解析・磁性解析・電子構造計算といった2022年までの一連の成果をまとめて論文出版することができた。さらに、より詳細な磁性を調べるための微視的なアプローチとして、中性子散乱実験の適用準備を開始し、いくつかの関連化合物で磁気構造決定を含む好ましい成果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ウラン層状化合物の中性子散乱実験を複数の化合物について実施し、ウランフタロシアニン結晶における実験条件の最適化を行う。その上で、ウランフタロシアニン結晶を新たに合成し中性子散乱実験を行うことで、ウランイオンの磁性の微視的な解析および、X線構造解析では決定困難な水素イオンの正確な位置決定を行う。
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