研究課題/領域番号 |
21K14646
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
関根 良博 熊本大学, 大学院先導機構, 准教授 (40733465)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 金属錯体化学 / 磁性 / 電子ドナー・アクセプター / 電子移動 |
研究開始時の研究の概要 |
電荷移動錯体は、電子ドナー・アクセプター分子間の電荷移動に伴い電子や磁気スピンが相乗的に機能するため、特異な電気伝導性や磁気特性を示す。さらに、ドナーアクセプター分子のフロンティアオービタルを精密に設計することで外場誘起電子移動を制御し、電子状態変化を利用した多重安定性の創出、および物性変換が可能である。本研究では、非対称電荷移動型金属錯体を新たに創出し、異方的電子移動に基づく機能性の発現を行う。
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研究実績の概要 |
外部刺激に応答して、構造や電子状態/スピン状態を変換可能なスピン転移化合物や磁性体については、基礎的な分子設計指針は確立されつつある。一方で電子移動の自在制御及び機能発現に関する学理は、未だ開拓が十分ではない。外場応答性金属錯体の機能開拓に関する研究の観点から、本研究で着目する外場誘起電子移動が織り成す新物性科学への期待は極めて大きい。電子ドナー(D)アクセプター(A)型電子移動系においても、刺激によって物性が変換可能な構造・電子状態と磁性が強く相関した系であり、分子スイッチやメモリー素子への応用が期待される興味深い化合物群である。 特異的な電気的性質を示す強誘電体の研究は無機化合物を中心に古くから行われているが、最近では次世代不揮発性メモリとして有力視される強誘電メモリやキャパシタ、非線形光学材料等、種々の光電子材料への応用が期待され、研究の重要性は一段と高まりつつある。従来の無機系強誘電体や無機系電子材料と比べて、金属錯体は分子構造、電子及びスピン状態において高い内部自由度を有し、新しい多重機能性や多重外場応答性を発現する可能性を秘めている。 とくに電子DAユニットが連結したDA型金属錯体は、熱や光、圧力印加、ゲスト分子の吸脱着等の外部刺激に応じてD/A間電子移動(D0A0⇔D+A-)を示すことができる。本研究では、配位構造制御に基づく非対称DA型金属錯体を新たに創出し、異方的電子移動及び電子配置変化に起因する電子機能を開拓することを目的とした。新規電荷移動型金属錯体を合成し、その外部刺激応答性について明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象となる電荷移動型錯体の探索の結果、いくつかの外場応答性金属錯体の合成に成功している。現在、これら得られた金属錯体の化学修飾により類縁体の合成が可能であり、目的とする物質群の開拓に成功している。また、分子配列制御を検討し、超分子的相互作用により集積構造体の構築にも成功した。一部の化合物において構造解析に遅れが出ているが、良質な結晶化条件を見出したためこれらは解決できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
結晶内の配向制御を目指し、分子の化学修飾の最適化を行い、共結晶化について検討する。既に得られたいくつかの集積体に関して、磁気的・電気的測定を行い、構造と物性相関を明らかにすることで、分子設計方法を確立する。
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