研究課題/領域番号 |
21K14689
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
伊藤 祥太郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (00783979)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 熱可塑性エラストマー / ポリウレタン / 架橋・解架橋 / 光二量化 / 架橋 / 解架橋 / 光応答 / アントラセン / フェニレンジアクリル酸 / 熱可塑性ポリウレタン / 可逆架橋変換 / 光応答性色素 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では化学架橋により、既存熱可塑性ポリウレタンの長期使用上限温度を超える耐久性を持ち、同時にリサイクル性にも優れた新規エラストマー材料の実現を目指す。熱可塑性エラストマーは、物理架橋構造を持つため再成形により材料リサイクルが可能な低環境負荷材料である。しかし、化学架橋エラストマーと比較して、高温や長期での耐久性に劣ることが問題である。この課題を解決すべく、可逆的に化学架橋と解架橋が可能な光応答性色素(アントラセンやけい皮酸エステル誘導体)を利用して、物理架橋-化学架橋変換が可能な熱可塑性ポリウレタンの創製に取り組む。
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研究成果の概要 |
本研究では、成形性に優れリサイクルが可能な熱可塑性エラストマーに対し、可逆的に架橋・解架橋する官能基を導入し、化学架橋に基づく高耐久性を付与したエラストマーを開発することを目的とした。架橋・解架橋部位として、光二量化反応する、1,4-フェニレンジアクリル酸エステル、9,10-ビス(アルコキシ)アントラセン、9-アントラセンメタノール誘導体を検討したところ、9-アントラセンメタノール誘導体が、ポリマーが熱分解しない200℃までに解架橋することが分かった。この官能基を導入したポリウレタンは、光照射によって液体状態からゴム状へ変化し、150℃の加熱によりアントラセン二量体が解架橋することが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
熱可塑性エラストマー(TPE)は、成形が可能で生産性に優れ、再溶融による材料リサイクルが可能な低環境負荷材料である。しかし、物理架橋の本質的な性質ゆえ、TPEは高温での物性低下が大きく、化学架橋エラストマーと比較して耐久性が劣ることが課題となっている。本研究では、9-アントラセンカルボン酸エステルによる光架橋部位をTPEに導入し、紫外光照射による化学架橋させることで、架橋密度が上がり、弾性が向上することが分かった。さらに、150℃以上の加熱により、化学架橋部位が一部解架橋することを示した。したがって、化学架橋部位導入による物性向上や解架橋による成形性の再生などの可能性を示せた。
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