研究課題/領域番号 |
21K14706
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分36010:無機物質および無機材料化学関連
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研究機関 | 山梨大学 (2022) 東京理科大学 (2021) |
研究代表者 |
齋藤 典生 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (20822456)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ペロブスカイト / ナノ結晶 / ハロゲン化物 / 配位子 / 耐水性 / 発光 / ペロブスイカイト / ジェミニ型 / ナノ蛍光体 / エマルション / 水分散 |
研究開始時の研究の概要 |
ハロゲン化鉛ペロブスカイトナノ結晶は、次世代の光電子材料として多くの研究者の関心を集めており、そのポテンシャルを引き出す表面設計は喫緊の課題である。本研究は、複数の配位子をスペーサーで連結し表面保護能と吸着能を向上させたジェミニ型やオリゴメリック型配位子をナノ結晶表面に適用し、既存組成を凌駕する発光特性と分散安定性を実現する。また、O/Wエマルションを介してナノ結晶表面を高親水性な界面活性剤で被覆し、表面保護と親水化を両立させることで、水中での安定分散を達成する。発光・分散性・耐水性に優れたナノ結晶表面の化学構造を解明すると共に、スプレー塗布やデバイス応用に適した新規ナノ蛍光インクを創製する。
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研究成果の概要 |
ハロゲン化鉛ペロブスカイトCsPbBr3ナノ結晶の表面に、カチオン性多鎖多親水型配位子を修飾し、分子構造と分散・発光特性の関係や、極性溶媒に対する安定性を明らかにした。多鎖多親水型配位子は、既存の配位子であるジメチルジドデシルアンモニウムBrと同等の発光特性と分散安定性を示し、耐水性試験では既存配位子を大幅に上回る安定性を発揮した。安定性向上の要因として、多鎖多親水型配位子の表面吸着構造や、水と配位子を介した特徴的な結晶相変化を明らかにした。さらに、ペロブスカイトナノ結晶の表面保護と親水化を両立する新しい表面修飾法として、水中油滴型エマルションを介した表面改質プロセスを開発した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ペロブスカイトナノ結晶は、その特徴的な光電子特性から次世代の機能性材料と期待されているものの、化学安定性の低さが課題である。本研究を通じて、ペロブスカイトナノ結晶の表面状態の制御に基づき、その分散安定性、発光特性や化学耐久性を大幅に向上できること、水やアルコールなどの極性溶媒中でも安定分散し、光電子特性を長時間維持できることを明らかにした。本研究で培った手法は、発光デバイスや太陽電池、触媒開発などに適用することができ、ペロブスカイトナノ結晶の新たな応用展開を拓くと期待される。今後はこれらの応用に向けた検討を行い、環境エネルギー問題の解決に資する革新的マテリアル創出に関する研究を展開する。
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