研究課題/領域番号 |
21K14707
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分36010:無機物質および無機材料化学関連
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
牧 涼介 岡山理科大学, 工学部, 助教 (30881693)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | セラミックス / 岩石固化体 / シンロック / 蛍石型構造 / 高レベル放射性廃液(HLW) / 福島第一原子力発電所事故 / 燃料デブリ / セラミック / シンロック固化体 / 結晶構造 / 蛍石型鉱物 / 超格子構造 / 高レベル放射性廃棄物(HLW) / シンロック固化 / 微構造 / ムラタイト / 結晶構造解析 |
研究開始時の研究の概要 |
シンロック固化体は、放射性廃棄物の長期保管方法の一種である。ムラタイトは、多くの元素を長期間安定に閉じ込めることが可能な次世代のシンロック固化体として期待されているが、詳細な結晶構造が解明されていない。本研究は、ムラタイトの詳細な結晶構造を明らかにし、安定に閉じ込めることが可能な放射性核種について検討し、得られた結果を基に、多様な放射性核種を高密度に含有可能なムラタイトの合成法を開発することを目的としている。構成元素および熱処理条件によって様々な結晶構造変化を示すムラタイトについて、詳細な構造評価を行うとともに、アクチノイドを豊富に含有可能なメゾスケール超構造の形成条件を確立する。
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研究実績の概要 |
多種類の放射性核種が含まれる高レベル廃棄物の安全かつ低コスト保管法の確立は日本における重要な課題となっている。岩石固化技術(シンロック)は放射性廃棄物の長期保管方法の一種であり、固化体の候補の一つであるムラタイトはチタン酸塩鉱物の一種で、多くの元素を長期間安定に閉じ込めることが可能な次世代のセラミック固化体として期待されている。本研究は、高レベル放射性廃液(HLW)や福島第一原子力発電所事故で発生した燃料デブリに含まれる放射性核種を高密度に含有可能なムラタイト基シンロックの合成法を開発することを目的としている。 福島第一原子力発電所事故で発生した燃料デブリには主に核燃料物質(UO2)、被覆管材料および構造材が含まれ、被覆管材料および構造材由来のZrおよびFeを豊富に固溶可能なチタン酸塩鉱物結晶が形成されるように、最適な化学組成や固化条件を模索する必要がある。UO2(あるいはCeO2)、SUS304およびZr粉末を1:1:1(mol)の組成比で混合し、1600℃で3h熱処理し、模擬燃料デブリを合成した。得られた模擬燃料デブリと種々の酸化物試薬を所定の組成比で混合し、1200-1450℃で3-6h焼成した。その結果、模擬燃料デブリの含有量が5.4wt%では化学組成がCa3.2Mn2.1Zr2.34U0.26Ti7.53Fe6.13Cr0.05Ni0.02Al3.9O42のムラタイト単相のシンロックが得られることが分かった。模擬燃料デブリの含有量が10.7wt%および20.9wt%では、固化体の主相はいずれもムラタイトであったが、擬ブルッカイトおよびペロブスカイト相も生成した。模擬燃料デブリを5.4wt%含有した固化体を用い、MCC-1法に準拠して静的浸出試験を実施した結果、28日時点の浸出率の合計は3.2×10-4 g/m2・dであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、おおむね順調に進展している。2023年度は、福島第一原子力発電所事故で発生した燃料デブリの処分に対するムラタイト基シンロックの工学適用性について検討した。最適な化学組成および固化条件を模索し、廃棄物負荷量20.9wt%まではムラタイトを主要構成相とする固化体が得られることが分かった。 模擬燃料デブリを5.4wt%含有した固化体を用い、静的浸出試験を実施した結果、28日時点の浸出率の合計は3.2×10-4 g/m2・dであった。これは、HLWのガラス固化体(従来技術)と比べて数桁低い。この結果から、本実施形態に係る燃料デブリの固化方法により形成された固化体は、地層処分において燃料デブリ由来の放射性核種を長期に渡り安定に閉じ込められることが示唆された。 以上のことから、2023年度の目的はおおむね達成できたと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までに得られた固化体について、詳細な微構造評価および浸出試験を行い、微構造と固化体性能の関係性を明らかにする。また、福島第一原子力発電所事故で発生した燃料デブリの化学成分は非常に複雑であることが予想されるため、実装に向けた実規模での実験について検討する。
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