研究課題/領域番号 |
21K14713
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
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研究機関 | 弘前大学 (2022) 長岡技術科学大学 (2021) |
研究代表者 |
松田 翔風 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (90800649)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 一酸化炭素還元 / メタン生成 / 固体高分子形燃料電池 / 白金電極触媒 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、一酸化炭素(CO)を燃料として発電する新規燃料電池(H2-CO燃料電池)の開発を提案する。低過電圧CO還元によるメタン生成を実現できれば、H2酸化反応と組み合わせることで、COを還元して有用生成物であるメタンを生成しながら発電する革新的燃料電池となりうる。本研究では、Pt電極触媒を用いたCO還元反応を戦略的に制御することで低過電圧メタン生成を達成し、H2-CO燃料電池を実験的に実証することを目的とする。
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研究実績の概要 |
カーボンリサイクル技術ロードマップの達成へ向けて、一酸化炭素(CO)から燃料を製造する技術の確立は重要な位置づけにある。そこで本研究では、CO自身を燃料として発電する新規燃料電池(H2-CO燃料電池)の開発を目指す。本電池はアノードに水素(H2)ガス、カソードにCOガスを供給するため、COを還元しながら(有用生成物であるメタンを生成しながら)発電できる革新的電池となる。本研究の目的は、そのH2-CO燃料電池を実験的に実証することであり、そのためにはCO還元反応の制御が重要となる。したがって本研究では、H2の標準酸化還元電位(0 V)より貴電位でメタン(CH4)生成反応を進行させること、またその際のCO転化率60%以上を達成目標項目として研究を遂行している。本年度の主な研究成果は次のとおりである。Pt/C電極触媒を有する膜電極接合体を組み込んだ固体高分子形セルによるCO還元において、まずカソードに供給するCO濃度がCO還元に与える影響を詳細に評価した。その結果、CO濃度が2 ppmのときにCH4生成量が最大になり、CH4が選択的に得られることが確認された。ここで、生成物がCH4であることの確証として、質量分析法に代えてガスクロマトグラフィーを採用し生成物を分析したところ、生成物とCH4標準ガスのリテンションタイムが一致しており、生成物がCH4であると証明された。また、CO還元によるCH4生成のカソード電位依存性を評価したところ、0.12 V vs. RHEのときにCH4生成量が最大になることが確認された。以上より、CO還元によるCH4生成に適した条件はCO濃度2 ppm、カソード電位0.12 V vs. RHEであると結論付けた。今後は、CO還元によるCH4生成反応を定量的に議論するとともにCO転化率60%以上達成を目指す。また、H2-CO燃料電池としての発電性能試験を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CO還元によるCH4生成のCO濃度依存性および電位依存性の検討を完了しており、研究実施計画に従いおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通りに推進する。引き続きPt/C電極触媒を有する膜電極接合体を組み込んだ固体高分子形セルを用いて、R5年度はまず、R4年度までに見出されたCO還元によるCH4生成に適した条件(CO濃度2 ppm、カソード電位0.12 V vs. RHE)下での定電位CO還元を実施し、CH4生成効率(CO転化率)およびCH4連続生成の可能性について検討する。そして、最終的にH2-CO燃料電池としての発電性能試験を行い、CH4を生成しながら発電するH2-CO燃料電池を世界で初めて実験的に実証する。
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