研究課題/領域番号 |
21K14720
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大野 真之 九州大学, 工学研究院, 助教 (30892533)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 全固体電池 / イオン輸送 / 電気化学 / リチウム硫黄電池 / 複合電極 / 固体複合材料 / 固体界面化学 / キャリア輸送 / 複合体 / イオン伝導 / 全固体リチウム硫黄電池 / 電極複合材料 / 硫化物固体電解質 |
研究開始時の研究の概要 |
安価で豊富な硫黄を活物質に用いる次々世代全固体電池の実現を究極的な目的とし、目下大きな課題である複合材料内イオンダイナミクスの向上が本研究の目標となる。絶縁性の硫黄の利用には、充放電に必要なイオンと電子を隈なく供給するため、電子伝導助剤と固体電解質と混ぜ複合化する必要がある。一方で構成材料間の界面(interface)密度の増大と、界面に生じる分解生成物(interphase)の影響により、複合体内のイオン輸送は極端に鈍化する。このジレンマの打開へ、複合材料中のinterfaceとinterphaseの特性を加味した電極設計指針を、電荷輸送と固体化学の知見を駆使して探索する。
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研究成果の概要 |
電池の電極は複数の材料を複合して作製する。この際、異なる部材が接する部分が界面である。電池の動作中は変化する電圧が印加され、とくにこの界面近傍で様々な現象が起き、その現象の掌握が高性能・高寿命な電池の実現には欠かせない。全固体電池の実用化を目指し、本研究ではこの界面(interface)と界面生成物(interphases)に特に注目して研究を展開した。界面近傍でイオンの輸送を担保する電解質が分解・変質することが知られていたが、本研究でその程度を定量的に観測する手法を確立した。また発展として、固体電解質に存在する内在的なイオン伝導度のばらつきを抑える手法を、熱力学の観点から考案し実証した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
全固体電池向け硫黄正極内のキャリア輸送測定の基盤を構築した。とくに複合体内部でのイオン輸送の計測をインピーダンス測定とその解析を用いて計測する手法が確立できたことは、電位依存の輸送変化の計測を初めて可能にした。これにより複合体の定量的な輸送解析ができるようになった。また、固体電解質が持つイオン伝導度のばらつきを低減する熱力学的な手法も提案した。固体電解質に微量の共存相をあえて混入させることで系の熱力学的な状態を規定し、固体電解質中の欠陥量を安定させることでこれを可能にした。これらの成果は全固体電池研究一般に有用な成果である。
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