研究実績の概要 |
研究トピックの1つは、全固体電池用のbeta-Li3PS4固体電解質の粒界におけるLiの動態を研究することである。これを達成するために、モーメントテンソルポテンシャルを用いた大規模な分子動力学シミュレーションを行った。モーメントテンソルポテンシャルは、第一原理分子動力学法によって生成された構造のエネルギーと原子にあたる力を用いて訓練された。粒界Liイオン伝導度の程度には、粒界タイプに依存性があることが分かった。具体的には、ベータ-Li3PS4では、twist型粒界はtilt型粒界より1桁高いことが分かった。一方、結晶-非結晶界面は、twist型粒界と同等の伝導度という結果を得た。これらの伝導度の傾向は、粒界領域周辺のLiイオンの局所的な乱れの程度によって説明できる(Energy Adv., 2023, 2, 2029-2041)。他の研究トピックには、機械学習ポテンシャルの開発のためのデータ生成に関係する。これは、Liリッチアンチペルオブスカイト型固体電解質(J. Phys. Chem. C 2023, 127, 35, 17307-17323)、およびLISICON型固体電解質(J. Phys. Chem. C 2023, 127, 29, 14117-14124)。多数の結晶構造構成と多様なイオン配置を持つ多くの結晶構造データセットを効果的に生成するために、高効率なハイスループットサンプリングアプリケーションであるEwaldSolidSolutionが開発された(J. Phys. Chem. A 2023, 127, 27, 5734-5744)。
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