研究課題/領域番号 |
21K14745
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分37020:生物分子化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤野 遥 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任助教 (60897023)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 全合成 / テルペノイド / 中分子 / 統一的合成戦略 / ラジカル反応 |
研究開始時の研究の概要 |
巨大天然物群である高酸化度プレミルシナン・ジャトロファン類は、4環性共通炭素骨格上の酸素官能基の違いにより、多様な生物活性を示す。しかし、天然からの単離量が僅少である一方で、その複雑な化学構造ゆえ化学的全合成は未達成である。それゆえ、本天然物群は、創薬上有用な化合物として認識されるものの、創薬リード化合物としての活用に多くの課題を残す。 本若手研究では、未だ前例のない本天然物の統一的合成法の確立、および合成した化合物ライブラリーを用いる構造活性相関研究への展開を目指す。有機合成化学・創薬化学双方の観点から重要な革新的基礎研究である本研究では、社会的要請の高い創薬課題の解決に挑む。
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研究成果の概要 |
高酸化度プレミルシナン類は、酸素官能基の立体化学・エステル修飾様式の違いにより、多彩な生物活性を示す天然物群である。本天然物群は天然より単離される量が僅少であることに加えて、複雑な化学構造に起因する高合成難度のため未だ全合成例が報告されていない。そのため本天然物群は創薬上有用なリード化合物たる特性を示すにもかかわらず、量的制限ゆえ十分な構造活性相関の知見が蓄積されておらず、創薬題材分子として未活用であった。我々は、2種類の異なる戦略により本天然物群の合成研究を遂行した。いずれの戦略においても、独自に開発した温和な中性条件下進行するラジカル反応を活用することで、合成経路の高効率化を実現した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果は、現代の有機合成化学の発展をもってしてもなお達成困難な高酸化度複雑テルペノイドの、ラジカル戦略を基盤とする新しい全合成論を提供するものである。高酸化度複雑テルペノイドの多くは強力かつ多彩な生物活性を示す優れた創薬特性を有するにもかかわらず、天然からの単離量が僅少であるという量的制限のため、従来創薬題材分子として未活用であった。したがって、本研究で確立した合成戦略は、プレミルシナン類のみならず多様な構造クラスの高酸化度複雑テルペノイドの合成研究を加速かつ効率化しうる。そのため本研究は、創薬科学を端緒とする普遍的な科学技術・公衆衛生分野に大きな波及効果を与えうる重要な基礎研究である。
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