研究課題/領域番号 |
21K14750
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分37030:ケミカルバイオロジー関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
平岡 陽花 名古屋大学, 理学研究科, 特任助教 (70880053)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 核酸医薬 / 遺伝子発現制御 / 化学修飾 / 細胞膜透過 / 膜透過性核酸 / ジスルフィド修飾 / 遺伝子抑制 / 化学修飾核酸 / スプライシング制御 / 核酸デリバリー / イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、超高速に膜透過する修飾核酸の動態解析および最適化に取り組む。 近年、遺伝子疾患の治療法として核酸医薬が注目されているが、細胞膜透過性の低さのため運用が制限されている。申請者の研究室では、核酸にチオール基を含む修飾構造を付加することで僅か10分で自発的に細胞内に導入されることを見出した。時間経過に伴う核移行も見られており、細胞質および細胞核の多様な分子を標的にできる。しかしその過程の多くが未解明であり、厳密な機能制御に至っていない。過程を理解しメカニズムに基づいて修飾を最適化することで、膜透過および核移行の制御が可能となり、任意の場所で機能する核酸医薬品の開発に繋がると期待される。
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研究実績の概要 |
本年度は、当研究室で開発した膜透過性核酸MPON(Membrane Permeable OligoNucleotide) について、第一世代MPONを上回る膜透過性効率および遺伝子抑制効果を示す次世代MPONの開発に取り組んだ。MPONはアンチセンスDNAやsiRNAなど標的遺伝子の発現抑制に用いられる核酸材料に対して、細胞膜透過を促す構造を付加した化学修飾核酸を指す。いくつかの有望な修飾構造が得られ、論文として報告した。 研究期間全体を通じて、(A) 第一世代MPONの細胞膜透過メカニズムの解明 および (B) 細胞内動態の観察 と、それらの知見を踏まえた (C) 次世代MPONの開発に取り組んできた。(A)(B)について、蛍光標識した第一世代MPONをヒト培養細胞であるHeLa細胞に投与し観察したところ、投与直後に細胞膜に結合し、非常に迅速に細胞内に導入される様子が見られたことを契機に、第一世代MPONが膜タンパク質との結合を介して細胞内に導入されることを示し、その責任タンパク質の候補を同定した。また、細胞膜透過後に細胞核内へと移行することを発見し、核内スプライシングの制御に応用できると明らかにしたことで、将来的な筋ジストロフィー治療への適用可能性を示した。優れた性質を示す一方で、投与濃度の上昇に伴い、細胞内で局所的に凝集している様が一部の細胞で見られた。凝集によって、見かけの核酸濃度低下に伴う機能低下や細胞への悪影響が起こる可能性も危惧されたため、そのリスクを回避するために新しい膜透過性核酸の開発に取り組んだ (C)。複数の化学修飾を提案し評価を進めている最中であるが、既に効果を示す有望な修飾核酸が得られつつあり、順次論文として報告している。
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