研究課題/領域番号 |
21K14771
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
|
研究機関 | 山口大学 (2022-2023) 大阪大学 (2021) |
研究代表者 |
佐藤 悠 山口大学, 大学研究推進機構, 助教(テニュアトラック) (90852187)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | リボソームRNA / 増殖速度 / バクテリア / プラスミド / 微生物操作技術 |
研究開始時の研究の概要 |
産業利用に有用な原核生物の探索における一つの律速段階として、多くの原核生物の増殖速度が遅いことが挙げられる。天然環境中では、ゲノム上のrRNA遺伝子のコピー数が多い原核生物ほど最大増殖速度が速い傾向が見られており、rRNA遺伝子に基づく増殖速度制御機構の存在が示唆される。一方、1菌株レベルでのrRNA遺伝子のコピー数と増殖速度との相関を検証した研究は少なく、rRNA量と増殖速度との関係については十分な解析がなされていない。そこで、本研究では、合成生物学的手法を用いて異なるコピー数のrRNA遺伝子をもつ 変異株ライブラリーを作製し、細胞内rRNA量の違いが原核生物の増殖に与える影響を評価する。
|
研究成果の概要 |
原核生物において、タンパク質合成の翻訳機能に関わるリボソームRNA(rRNA)遺伝子数と増殖速度との間には正の相関関係がみられる。本研究課題では、人為的に細胞内のrRNA遺伝子数を調整することにより、任意のバクテリアの増殖速度を操作できるかどうかを検証した。プラスミド上にのみrRNA遺伝子をもつ大腸菌を用いて遺伝子改変実験を行った結果、ある一定のrRNA遺伝子数まで増加させることで増殖速度が向上することを見出した。また、rRNA遺伝子数を過剰に増やすと細胞サイズやタンパク質生産量にも影響することが示され、rRNA遺伝子改変にもとづく新たな細胞改変技術の開発が期待される。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
バイオ産業は目覚しい発展を続けており、経済協力開発機構によると2030年のバイオ市場は約200兆円の巨大市場に成長すると予想されている。これまでに環境中から約2万種もの原核生物が単離され、その性質に応じて幅広い分野に利用されてきた。しかしながら、産業利用に十分な菌体密度を得るまでに数日から数週間と増殖が遅い微生物も少なくなく、限られた原核生物しか産業利用できていない。本研究で得られた「rRNA遺伝子の改変により任意の微生物の増殖速度を加速可能である」という知見は、既存の微生物利用を最大化するとともに、有用微生物の探索の加速化にも貢献しうる。
|